文字コードを理解するための参考文献

文字コードを理解するために有用な本を紹介していきます。拙著『プログラマのための文字コード技術入門』を書くために参考にした本も含んでいます。

文字コードを知る

  • 矢野啓介『プログラマのための文字コード技術入門』技術評論社(2010)

    拙著です。いきなり宣伝めきますが、各方面から好評をいただいておりますので、よろしくお願いします。文字コードとは何かという話から、文字コードの大まかな歴史、JIS漢字やUnicode等の現代日本向けの各種文字コード規格の紹介、インターネットやプログラミングにおける文字コードの説明など、技術者が必要とする知識を広く取り上げています。技術者以外の方にもお読みいただいています。

  • 芝野耕司『増補改訂 JIS漢字字典』日本規格協会(2002)

    日本の文字コードを知る上で必携といえるのがこの字典。JIS X 0213:2000の全文字を収録し、字形例や読み、文字コードの情報、膨大な人名・地名を含む用例等を掲載。そしてこの字典の最大の特徴は、JIS X 0208:1997とJIS X 0213:2000の縮刷版を収録していること。高価な規格票の代わりに利用できます。文字コードを正確に知るためには規格に当たることが必要なので、大変役に立ちます。

  • ケン・ランディ(著)、小松章、逆井克己(訳)『CJKV日中韓越情報処理』オライリージャパン(2002)

    日本・中国・韓国・ベトナムという東アジア圏の情報処理について主に欧米の読者向けに説明した本。文字コードだけでなく、キーボードの配列や入力方式、フォントなどについても扱っています。1998年の本の翻訳なのでいささか古い感は否めませんが(原書は2008年に改訂版が出ています)、日本以外の国の情報処理を知るためには有用でしょう。

  • 安岡孝一、安岡素子『文字コードの世界』東京電機大学出版局(1999)

    これもいささか古い本ではあるのですが、世界の各種文字コードをコード表つきで紹介している有用な本です。日本はもとより、中国・韓国・台湾・タイ・ベトナム・欧州の文字コードを紹介しています。各国の常用漢字についても紹介しているのがひとつの特徴です。

  • 小林竜生、安岡孝一、戸村哲、三上喜貴『インターネット時代の文字コード』共立出版(2002)

    多数の著者の文字コードについての文章を集めたムック形式の本。はじめの方は、世界の各種文字コードの紹介となっています。JIS X 0213やGB18030に対応しているので、『文字コードの世界』の追補的な役割を果たすと見ることもできます。私が個人的に好きなのは、第13章「書誌情報データベースから見た文字コード」(宮澤彰)。

  • 安岡孝一、安岡素子『文字符号の歴史--欧米と日本編』共立出版(2006)

    欧米や日本の各種文字コード規格の成立過程を膨大な文献参照によって丹念に追った本。普通の意味で文字コードを知る本とは趣きが異なりますが、歴史に興味のある向きには良いでしょう。

  • 三上喜貴『文字符号の歴史 アジア編』共立出版(2002)

    日本以外のアジア地域の文字コードを解説した本。日本のソフトウェア開発者にとって馴染みの薄い、ウェブ上にもあまり情報のない地域についてよく記述されている貴重な本です。例えば多くの人はバングラデシュの文字コードなどというものを想像したことすらないでしょうが、そうしたものまで紹介されています。アジアの文字というと、部品が複雑に合成される文字が多くありま すが、そうした文字の符号化への取り組みについても知ることができます。

文字コードに先立つ文字の話

画像について理解することなしに画像の符号化は語れないでしょうし、音声とはどんなものかを知ることなしに音声の符号化は理解できないでしょう。それと同様、文字の符号化には文字そのものについての理解が欠かせません。ここでは日本の文字について知るための本をいくつか挙げてみます。

  • 大熊肇『文字の骨組み--字体/甲骨文から常用漢字まで』彩雲出版(2009)

    文字の字体について説明した本。特に、書体による字体の違いについてよく説明されています。字体について今まで認識してこなかったことが見えてくる本です。「私の名前の『高』は『はしご高』です」という人は読んでみると良いでしょう。

  • 江守賢治『解説 字体辞典』三省堂(1998)

    初めてこの本を手にしたときは衝撃でした。文字についてそれまで知っていたこととあまりに違うので、にわかには信じられなかったほどです。しかし、どうやら本書に書かれていることが本当らしいと次第に分かってきました。現在本書は入手が困難になっていますが、前掲の『文字の骨組み』は本書の影響を受けていてエッセンスを引き継いでいると思うので、『文字の骨組み』から読んでみると良いでしょう。

  • 財前謙『新常用漢字196 ホントの書きかた』芸術新聞社(2010)

    常用漢字表の2010年改訂で追加された漢字について、手書きでの書き方を説明する本。活字と手書きとでは字体が異なることがありますが、今回の常用漢字表改訂で追加された文字は学校で教わらないこともあり、手書きでの字体を知らないことが案外あるようです。例えば、「鬱」という字は活字では中に「※」のように見える部分がありますが、これは手書きでは「米」の形に書くそうです。手書きと活字の形の違いを知るのに適した一冊。

  • 財前謙『字体のはなし--超「漢字論」』明治書院(2010)

    2010年の常用漢字表の改訂に関して、手書きと活字の字体の違いを論じた本。活字と手書きがどれほど違うかを理解するのに適しています。活字の書体に引きずられて伝統的な手書きの書体を見失ってしまうことを著者は危惧しているようです。手書きの字体と活字の字体を混同しないために役立つ本です。


2012年1月22日 初版公開

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