自転車の最近のブログ記事

今月から道路交通法が変わって、自転車で路側帯を通るときに進行方向に向かって右側の路側帯を通ることは禁止になりました。これについていろいろと誤解や混同があるようです。

例えば今ウェブ検索で「道路交通法 自転車」というキーワードを入れてみると、「自転車の逆走が禁止に」といった見出しのニュース記事が出てきます。これはどうも誤解があるような見出しです。何が誤解かというと、まるで「今までは逆走してよかった」かのように読めるからです。

実際のところ、今までも自転車は車道の左側を走ることに決まっています。これは他の車両と同じです。自転車は分類上、軽車両とされています。右側を走ると逆走であり、違反です。

では今月から何が変わったのかというと、路側帯の扱いです。自転車が路側帯を通行する場合、今まで進行方向については定められていなかったのが、車道と同じ進行方向にそろえるということです。路側帯ってなんだっけ、という方もいるでしょう。歩道のない道路に線を引いて区画された簡易的な歩道のようなのが路側帯です。詳しくはネット検索等で調べてください。

ただ、あくまでも自転車は車道を通ることが原則なので、原則通りに車道を通行している場合は今までと同じで、何も変更ありません。路側帯を通ることは自転車の運用上例外に属することであって、その例外の規定に不備があったので手直しされたということです。

だから、まるで今までは自転車はどちらを通っても良かったかのように解釈されかねない報道は適当でないということになります。

もっとも、これを機に「自転車は左側」という認識が定着して、いま時々見かける車道の逆走=右側通行 (くどいようですがこれは元々違反です) がなくなるようなら、多少報道が不正確でもいいのかなという気もします。いややっぱりよくないのかな。

カナダ・バンクーバーに仕事で行ってきました。一般的な写真も撮ってきたのですが、それはまたそのうち。まずは自転車の話を少し。

バンクーバーは東京や札幌といった日本の大概の代表的な都市よりもずっと自転車にやさしい街でないかと感じました。

全部が全部というわけではありませんが、車道の右側に自転車レーンのついている道路をしばしば見かけました。

下の写真は郊外の道路で見かけた自転車レーンです。

バンクーバー郊外の自転車レーン

自転車の数そのものはあまり多くはないのですが、走っている自転車は日本のママチャリのようなのではなく、もっとスピードの出るタイプのものです。また、ヘルメットの装着率はかなり高いと見受けられました。かぶっていない人もいたので義務ではないのかもしれません。

歩道を通行していることはあまりなく、一般的には車道を走っています。

自転車レーンのある道路では、自動車の右折レーン(日本と左右逆なので、日本でいうところの左折レーン)が設置されている交差点ではそれより左側(つまり中央寄り)に自転車レーンが通っているのを見かけました。日本で自転車に乗っていてよく感じるのは、左折レーンがあるときの直進しにくさです。この問題の解消を図っているものと思われます。ただ、どのタイミングで中央寄りのレーンに移行するのかはよく分かりませんでした。

街なかには、あちこちに小規模な自転車ラックが用意されていて駐輪できるようになっています。

また、国際空港とバンクーバー中心部を結ぶスカイトレインは自転車をそのまま持ち込めるようになっており、自転車用のスペースが設けられています。

環境負荷が低いうえに占有面積が小さくて済む自転車を有効活用しようとする姿勢が垣間見えました。

このところあまりしていなかったのですが、折りたたみ自転車を電車で運んで、三浦半島をサイクリングしてきました。いわゆる輪行というやつです。

My bike (you're cool, aren't you?)

これの何がいいかというと、

  • 遠くの場所を走れる (目的地までは電車に座って行ける)
  • スタート地点とゴール地点が同じでなくていい
  • 疲れたら途中で切り上げることもできる (駅の近くであれば)

といったように、行動の柔軟性が高いことが挙げられます。

わが国では、都市内の交通手段としての自転車は、オランダやデンマークなどと比べるとまだまだ問題が山積みですが、発達した電車網を利用して、輪行という形で楽しむのはなかなかいいと思います。

普段と違う景色の中を走るのは、気分のいいものです。

ストイックにトレーニングのように自転車で走る人もたくさんいて、それはそれで大いに結構なことです。が、私はもっとユルく、景色を見たり途中でお茶を飲んだりしながら、ほどほどの距離を気分転換のように走っています。そういう休日を過ごすのは、大変贅沢な楽しみ方だと思っています。

疋田智、小林成基『自転車はここを走る!』((えい)出版社)を読みました。著者は二人ともNPO法人自転車活用推進研究会というところに所属しています。

そもそもこんな題の本が出版されなければならないということ自体、日本の交通行政の問題をアリアリと物語っているといえます。はっきりいって異常事態だ。

でも現に自転車の走る場所が問題になっているので、きちんと解説されなければならないわけです。

本来、「自転車はどこを走るのですか」と聞かれたならば、「車道の左側です。以上」で済むはずなのです。が、いろいろな理由で、それだけでは済まなくなっています。

「いろいろな理由」に何が含まれるかというと、

  • 1970年代、車道上の自動車が増えたために、緊急避難的に自転車の走れる歩道というものを設定した。これが諸悪の根源。
  • 緊急避難的な措置であったはずがズルズルと常態化し、今や自転車通行可能かどうかも気にせずに自転車が歩道を走るようになり、それが人々の間に定着してしまっている。自転車利用者の意識の問題。
  • 道路の整備の上で自動車のことしか考えてこなかったため、自転車を始めとする軽車両では通行しにくい(ないしはできない)交差点などがある。行政による道路や信号の整備上の問題。
  • 自動車運転手にも、自転車が車道を走るものだということを知らない人がおり、自転車に対して危険な運転をする人がいたり、自転車の走行スペースである車道左端を路上駐車で塞いだりする。自動車運転手の問題。
  • 文字通りに解釈するとかえって危険だったり非現実的だったりする条文が道路交通法にあったりする。法律の整備の問題。

......とまあ、どこから手をつけていいか分からないくらいの状況なわけです。その中にあって自転車をきちんと活用しようとするならば、自転車の乗り手自身が、法律や道路整備の現状をよく理解して、本当に安全で効率的な自転車の走り方とはどういうものなのかを考えないといけないのです。

本書は机上の空論でなしに、自分で実際に自転車を乗りこなしている著名な著者らが具体例をふんだんに挙げて、今日の日本の道路の走り方を指南するものです。面白くないはずがない。

日本で自転車に乗る人は全員この本を読んだ方がいい。心からそう思います。自転車販売店で、自転車を売るときに本書も一緒に売ってはどうかと思います。そうすれば、自転車を正しく乗る人が増えるはずです。

今の私の願いは2つです。

ひとつは、自転車に乗る人がみな本書を読んで、正しい自転車の走り方を身につけること。

もうひとつは、自転車で車道を走りやすい道路整備が進んで、本書が不要になることです。

ここ30年余りわが国では自転車が歩道に上がるという緊急措置が常態化してしまっているわけですが、さすがにその弊害が無視できなくなり、最近警察庁が自転車は車道という原則に立ち返ろうとしています。これは正常な動きだと思います。

もっとも、車道では自動車がわがもの顔で走っているわけですから、そこに自転車で乗り込んでいくのは、正当な行為とはいえ、少なくとも最初は勇気がいることでしょう。

そこで、自転車が車道を走りやすいように、自転車レーンの整備が求められるわけです。

ところが、いま国内各地で実験的に作られている自転車レーンには設計のよくないものが多いと聞きます。よくない自転車レーンには却って出会い頭の事故を招くなどの問題があります。

では自転車活用の進んでいる各国ではどのような自転車レーンを作っているのでしょうか。そういう問題意識のもとで、下記のページを作ってみました。

YouTubeから世界のいろいろな都市の自転車レーンの動画を集めてきたものです。どうぞご覧ください。

自転車レーンはどうあるべきか、という議論の種になればと思っています。

ただし、乗り物酔いする方は、連続して見るのは避けた方がいいかもしれません。私は少し酔いかけました。

先日25日、警察庁が、自転車の車道走行の原則を徹底するよう全国の警察本部に指示したことがニュースとなりました (例: 時事ドットコム 自転車の車道走行徹底へ=ルール違反是正へ摘発強化−警察庁)。

もともと、自転車は車両の一種であり、本来は車道を走るものでした (本当は今でもそうです)。しかし、1970年代に自動車が急増したことを受けて歩道走行を例外的に特定の歩道で認めるようになり、そこからなし崩し的に自転車の歩道走行が横行するようになっていました。

今回の警察庁の指示は良いことだと私は思います。

しかし、自転車で車道を走るのは怖いと思っている人も多いでしょう。私もかつてはそうでした。

そこで、自転車が歩道を走ると何が問題なのかを簡単にまとめてみましょう。直感的に怖いと思うのと、実際上の危険とは、必ずしも一致しません。

  1. 歩行者への危険。交通は弱者優先の原則が守られるべきです。すると、歩道は交通弱者である歩行者のためにあるということになります。歩行者の中には、ベビーカーや視覚障害者もあります。自転車の歩道走行はこれら交通弱者に脅威を与えることは明白です。弱者保護のために、自転車は歩道を走らず、車道を走ることが必要です。
  2. 自転車の交通事故の危険。意外かもしれませんが、自転車の歩道走行は、自転車と自動車との交通事故の原因となります。なぜなら、自転車の交通事故の多くは交差点で起きていますが、自転車が交差点を渡るには一旦歩道から車道に出なければなりません。歩道上の自転車は車道の自動車から認知しづらいため、出会い頭の事故の原因となるのです。自転車自身の安全のために、自転車は歩道を走らず、車道を走ることが必要です。
  3. 進行方向の不明確さ。自転車通行可能な歩道上では、歩道の車道寄りを走ることが求められていますが、この規定自体に問題があります。「対面通行、かつ、常に車道寄り」ということは、車道寄りの歩道で自転車同士が正面衝突を起こしてしまいます。正しく自転車通行をマネージするためには、進行方向をはっきり決めなければならないのに、歩道走行ではそれが完全に欠落しています。一方、車道ではもちろん、自転車は左側通行であることは明確です。歩道上の自転車の混乱を避けるために、自転車は歩道を走らず、車道を走ることが必要です。
  4. 自転車本来の走行能力の発揮。自転車は誰でも時速20km以上で走ることができますが、そんなスピードで歩道を走るのは危険です。道路交通法では、自転車通行可能な歩道を走る場合は徐行するように求められています。つまり、法律上も実際上も、歩道では自転車本来の走行能力を発揮することはできません。自転車本来の能力を活用するために、自転車は歩道を走らず、車道を走ることが必要です。

これだけのことを理解すれば、自転車が車道を走るべきであることは十分納得されるのではないでしょうか。

もちろん、車道の自転車レーンの整備を進めることも大事です。これはおおいにやっていただきたい。けれども、自転車レーンができるまでは車道を走らないというのは極端すぎる。その間、上記のような問題に手をつけられないことになってしまいます。自転車で車道を走りつつ、自転車レーンの整備も行うという、両方を同時に進めることが大事でしょう。

車道を走るのが怖いというのは、多分に慣れの問題があると思います。肝心なことは、進路変更のときに必ず後方を確認すること、必要に応じて手信号で後続車両に進路変更を知らせることです。

啓蒙されることは読書の醍醐味であると思います。同じものを見ても昨日までとは全く違うものとして認識せざるを得なくなるような、世界がガラリと変わるような体験。俗な言い方をすれば目から鱗が落ちるという感覚。蒙を啓かれたくて私たちは日々読書しているのかもしれません。

疋田智『自転車生活の愉しみ』は、そんな体験を与えてくれた一冊でした。

自転車というありふれた物のことを、私はこんなにも誤解していたのか。世界では自転車をめぐってこんなことになっていたのか。そんな思いでいっぱいになりました。

私が自転車に乗るようになったのはこの本がきっかけです。書店をブラブラしているときに何気なく本書を手に取らなかったら、私は今でも自転車に乗っていなかったか、もし乗っていたとしても非常に間違った乗り方をしていたかもしれません。

本書はもともと東京書籍から2001年に出版された本です。以来10年にわたって読み続けられています。自転車がブームだといわれて久しくなりますが、本書は間違いなくこのブームの火付け役だったと確信できます。

本書の特徴のひとつは、ヨーロッパの自転車先進都市の事情についての記述があることです。この部分、なにしろ10年前のものなので、この10年間の自転車事情の進展の補足が欲しくなるところではありますが、基本的な事項は今でも共通のはずです。特に、街づくりや道路整備にかかわる人には是非読んでほしいと思います。

非常に残念なことながら、今の日本では自転車について正しく理解されておらず、そのことが都市内交通の問題を引き起こしています。そういう現状があればこそ、本書がより一層多くの読者を得るべきだといえるのです。

自転車というものを、駅までラクに行くための簡易な手段だと思っている人には、是非本書を手に取って、目から鱗を何枚も落としてほしいものです。

ここ1週間くらいで、民放とNHKのテレビで、ノーブレーキピストの問題を取り上げた番組を3回ほど見ました。

ノーブレーキピストというのは、自転車のトラック競技に使われるピストと呼ばれる種類の自転車で、ブレーキをつけていないものです。トラック競技ではブレーキをつけないのですが、公道を走るにはブレーキをつけないと道路交通法違反になります。無論、法律以前の問題として、そもそも危険であることはいうまでもありません。

ブレーキがないのにどうやって止まるかというと、ペダルを逆向きにこぐ力を与える(バックを踏む)仕組みになっています。日常見る自転車は、こいで前進している途中にペダルを止めても車輪だけ回り続けるようになっています。一方ピストはペダルが車輪の動きと連動するので、前進しているときはひたすらこぎ続けないといけないし、止めようと思ったら逆向きの回転力を与えてやる。後ろにこげば後ろに進む、ということになります。

テレビで実験していたのですが、ブレーキをつけたピストとつけていないピストとで、制動力にどれくらい差があるかというと、もちろん格段に違うわけです。

販売店では法律違反のものを売るわけにはいかないから、ピストにもきちんとブレーキをつけて売るのですが、買ったいったチャラい兄ちゃん(←想像)が、後で外してしまうのだそうです。

こういう困った自転車が出てくると、他のスポーツタイプの自転車までいっしょくたにされて「ああいうの(ドロップハンドルの自転車)は危ない」という風潮になる可能性があります。困ったものです。

テレビを見ていて思ったのですが、視聴者のうちピストとロードバイクの区別がつく人はどれくらいいるのでしょうか。どうかすると番組製作者ですらよくわかってないんじゃないかという気さえしてきます。

こういうときのマスコミ的常套句として「暴走自転車」というのがあります。止まるのが困難という意味ではノーブレーキピストは暴走自転車といっていいかもしれない。でも、「だから自転車はゆっくり走れ」ということになってしまうと、自動車の代替としての自転車の可能性を大きく損なうことになりかねません。「歩道の暴走自転車」なんてのは大体において、車道を走ればどうということのないスピードです。歩道を走っているから問題なのであって、車道(の左側)を走れば良い。

自転車が車道を走るのは危ないと思っている人がいるかもしれませんが、それは素朴な思い込みにすぎません。ドイツ・フランクフルトの道路交通局の人は、「統計上は自転車が車道を走ると事故は起きにくい」とはっきり言っているのです (毎日新聞、「銀輪の死角:欧州の取り組み/2 フランクフルト(ドイツ)」)。

ノーブレーキピストの問題はそれはそれとして対処が必要でしょうが、ピストはおそらく一過性のブームであろうと思います。自転車の安全ということでより長期的・本質的に必要なのは、自転車が歩道ではなく車道を走るという原則を取り戻すこと、そして車道に片方向の自転車レーンを設置することです。これを忘れてはならないでしょう。

自転車が安全に走るには道路はどうあればいいかということは、疋田智『自転車の安全鉄則』に詳しく論じられています。この種の議論には必須の文献であろうと思います。

環境や健康に良い交通手段として自転車が注目されています。大震災後、ますます自転車が見直されています。しかし、日本の道路はまだまだ自転車で走りやすいとはいえないのが実情です。

自転車レーンの整備を行っているところもありますが、必ずしも有効な自転車レーンとなっていないものも少なくないと聞きます。

どんな自転車レーンが良いのかについては、以前にも紹介した本、疋田智『自転車の安全鉄則』(朝日新書)で詳しく論じられています。

ここでは、私なりにそのエッセンスを短い言葉で表してみようと思います。

  • その1: 車道レーン

自転車レーンを車道に設置するのか、歩道に設置するのか、という話。車道に設置するのが望ましいということです。

歩道上にレーンを作ってしまう自治体もあるようですが、これにはいろいろと危険性や問題が考えられます。

例えば、歩道上のレーンは得てして歩行者から無視されてしまい、歩行者が立ち入ってしまうということがあります。これでは意味がない。これは歩行者への周知徹底をすればすむ話かもしれませんが、それだけではない。

自転車の歩道走行が危険な理由として、交差点で自転車が歩道から車道に出るときに自動車から認知しづらいということが挙げられます。歩道上の自転車レーンはこの問題については全く解決しません。特に、車道と反対方向に歩道上の自転車が走っているときには、車道の逆走と同じ効果になってしまい大変危険です。

自転車レーンは車道の左端に設けるのが良いパターンです。なぜ左端かというと日本は車両が左側通行だからであって、右側通行の国では右端になります。

  • その2: 片方向レーン

レーンの中を自転車がどちら方向に走るのかという話です。レーンの中では、車道と同じ向きにのみ走るのが妥当です。が、レーンの中をどちら向きに走っても良いという自転車レーンを作ってしまう自治体もあるようです。

双方向になっていると当然、その中の自転車は正面衝突の危険にさらされることになります。レーンが狭い場合はなおさらです。また、交差点において双方向レーンは車道の逆走と同様の状況を作り出し、出会い頭の事故を誘発することが考えられます。

双方向レーンを作ってしまう人の頭には、どちらにも進めた方が便利だろうという親切心が実はあるのかもしれません。しかし、逆走は危険です。必要に応じて道路の反対側に渡れば良いのです。原付に乗るときはそうするでしょう。それなら自転車だって本当は同じなのです。

  • その3: ペイントレーン

レーンを物理的にどのように設置するのかという話です。ガードレールなどで車が侵入できないように覆ってしまうよりも、単に路上に線を引いたりペイントしたりしただけの方が実は安全だという議論があります。

自転車がガードレールなどで覆われていると、自動車のドライバーからは心理的に遠ざかってしまい、自転車への認知が悪くなると考えられています。自転車が別の場所にあるものだと思ってしまうと、注意が向かなくなってしまうというわけです。自転車にとって路上を安全に走るコツは、自動車から早く確実に認知れさること、要は目立つことです。それの妨げになることは良くないのです。

以上です。自転車レーンを設置するときは、上記の3点、車道レーン、片方向レーン、ペイントレーンというポイントを念頭に置くと、安全なレーンになることでしょう。

5月25日放送のNHK「クローズアップ現代」は、「"ツーキニスト" が世界を変える」と題して、自転車交通を取り上げていました。見たという方もいるでしょう。

ここでいう「ツーキニスト」とは、正確を期すならば「自転車ツーキニスト」という疋田智氏による造語で、自転車で職場に通勤する人のことを指します。「ツーキニスト」では単に「通勤する人」になってしまうので、忘れずに「自転車」を頭につけるのがおすすめです。そのものずばりの書名を持つ書籍もあります。

「世界を変える」とはおおげさに聞こえるかもしれませんが、実際のところ世界では自転車活用を大々的に推進している都市が少なからずあることが、番組の中で紹介されています。ロンドンでは自転車を最重要の交通手段としてとらえなおしたということです。オランダでは4人に1人が自転車通勤しており、韓国では大統領自ら自転車に乗って自転車活用をアピールしています。

ひるがえって我が国では、自転車レーンを設置しようという動きがあるものの、どうもはかばかしくない......ということが議論されています。詳しくは番組ページの「出演者の発言」をご覧ください。

問題点は大きく2つあるように思います。

ひとつは、昭和40年代頃に自転車が歩道を走ることを認めてしまったことにより (それ以前は車道を走っていた、のだそうです)、自転車は歩行者と同じようなものだという誤解が蔓延してしまったこと。これは他国にない現象で、大変困ったものです。自転車は車両の一種であって、だから車道を走るのは当然のことであり、道路交通法も元々そのようになっています。しかし、歩道を走るようになってしまったことで、自転車の可能性が大きく制限され、さらに歩行者にも自転車自身にも危険を増大させてしまっています。自転車は車道 (の左側) を走らなければなりません。

もうひとつは、自動車を減らすという発想なしに自転車活用を唱えても意味がないということです。ロンドンの事例を見るとよく分かるのですが、自転車というのは自動車の機能の一部を代替するものであるという発想が根底にあり、環境問題渋滞問題医療費問題等いろいろな点から勘案して自動車よりも自転車を使う方が望ましいので、自動車から自転車へと転換していくのだ、という方針が必要なのです。今の日本を見ていると、「自転車を使ってもいいけど、なるべく自動車の邪魔をしないように。車道の王様は自動車だから」という雰囲気が見てとれてしまいます。これではいけません。自動車を減らすための自転車なのです。ロンドンでもアムステルダムでもコペンハーゲンでもそうです。

番組で使われていた「自転車革命」という用語は伊達じゃない。自動車が支配的であった既存の交通の構造を変えようとするからこそ「革命」なのです。そこを理解しないといけない。

さてこの革命は社会や自分にとって良いものでしょうか。思惑通りにいくならば、渋滞を緩和し、医療費を減らし、駐車場不足の問題を緩和し、化石燃料の燃焼を減らし、交通事故の悲惨を減じることにつながります。そうしたことに賛成である人にとっては、この革命は良いことである筈です。

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