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蛇の目の幅

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次のかぎ括弧の中の記号に注目してください: 「◉」

この記号、ご覧の環境ではどのような幅で表示されているでしょうか。

この記号は蛇の目(じゃのめ)です。見出しや段落などの頭に、目印として使うことがあります。JIS X 0208にはなく、JIS X 0213で追加されました。面区点番号1-03-27です。

第3第4水準辞書を使うと「まる」などからこの記号を入力できます。私はよく、テキストのメモの中で、見出しの印としてこの記号を使います。単なる丸を使うよりも、「いかにも見出し」という分かりやすさがあるので、なかなか良いです。

こういう使い方の場合、普通の平仮名や漢字などと同じ全角幅で表示されているのが自然ではないかと思います。BDFフォントのような等幅フォントでは、必然的に全角幅なので、特に何の不便も感じていませんでした。

近年、Evernoteのようなウェブ上のメモを使う機会が増えました。そうすると、文字端末向けのBDFフォントのような古き良き時代の産物でなく、アウトラインフォントが使われます。私が常用しているUbuntu LinuxにはIPAフォントがインストールされているのですが、どうもこれで見ると蛇の目の幅が狭い。半角ぐらいの幅で表示されます。別にそれが間違いとはいえないでしょうが、見出しとして使うには、もっと大きく表示された方がしっくりきます。

そんな不満を持ちながら使い続けていてある日気付いたのですが、Windows 7のMS Pゴシックでも、同じくらいの半角程度の幅に蛇の目が表示されています。もしかすると、IPAフォントはこのフォントの影響を受けているのかもしれません。

もっとも、表示されているのはまだいい方で、Androidスマートフォンで同じ文書を表示させたら蛇の目が表示されなくて悲しい思いをしました。

iPod Touchでは、全角くらいの幅で表示されていて、最も妥当な見え方と思います。こういうところにはiOSにまだ一日の長があるように思えます。

JIS X 0208/0213の波ダッシュ「〜」(面区点1-01-33、SJIS 8160)はUnicodeではU+301C WAVE DASHが相当します。ですが、これをU+FF5E FULLWIDTH TILDEにうつしてしまう実装があって、以前から問題になっています。

以前のWindowsに同梱のフォント、Windows XPまではそうだったと思いますが、MSゴシックなどではWAVE DASHのグリフが通常とは位相が逆になったような形になっていて、表示されると違和感がありました。これはUnicode仕様の例示字形がそうなっていたためですが、Windows Vista以降に同梱のフォントでは一般的な波ダッシュの形に直りました。

ただ、FULLWIDTH TILDEも同じような(あるいは全く同じ?)デザインになっているので、どちらのコードが入力されているのか、見た目に区別がつきません。

それで思うのですが、U+FF5E FULLWIDTH TILDEのグリフを、上付きというか、上に寄った形にできないものでしょうか。

そもそもtilde (チルダ、チルド、等)というのは、「ñ」のようにアルファベットの上につけられる記号です。ですから、上寄りにすることには十分な理由があります。

使っているフォントにもよるでしょうが、私のEmacs環境では、WAVE DASHは一般的な波ダッシュの形で、FULLWIDTH TILDEは全角幅で上寄りの形で表示されます。これなら、自分が適切なコードを入力しているかどうかがはっきり分かるわけです。これが良い。

MS Pゴシックやメイリオ、IPA PゴシックなどのU+FF5Eのグリフだけ差し替えるようなプログラムとかあればいいんじゃないかなと思うのですが、そういう素敵なものを作っている方はいないでしょうかね。

JIS X 0208は日本の文字を符号化するために1970年代に開発された文字コード(符号化文字集合)規格で、いくつか問題はあるものの、これまでよく使われてきました。

今日でも、内部的な符号化表現がUnicodeになっても、使える文字のレパートリーとしてはJIS X 0208に基づいていることが多くあります。例えば、フォントを作成する際に、JIS X 0208の第1・第2水準漢字をサポートするということが多くあります。

しかし、それでは不十分です。

上に、「いくつか問題はあるものの」と書きました。この「問題」の最たるものは、文字が足りないという問題です。この問題は早くから意識されており、1990年制定のJIS X 0212の開発につながりましたし、それはいまひとつだったというので2000年制定のJIS X 0213の開発の動機となっています。

今や、JIS X 0208の問題点を解消するJIS X 0213という規格があるのですから、日本語環境はそちらをベースにすべきです。

フォントについても、JIS X 0213で追加された第3・第4水準漢字をサポートすべきです。

幸い、近年のPCにバンドルされるフォントはJIS X 0213の文字に対応しています。Windows Vista/7やMac OS Xに同梱のフォントは、JIS X 0213の文字をサポートしています。(文字コードとしてJIS X 0213に対応しているかというとそれはまた別問題なのですが、その点はまたいつか)

これで、現代日本の文字が問題なく情報機器で使えるようになってめでたしめでたし......かというと、そうでないのが残念です。PC以外の情報機器では、JIS X 0213の文字がサポートされていないことがしばしばあります。例えばスマートフォンもその一つです。タブレットや電子書籍端末も問題です。以前「Sony Readerはホッケを食べられるか」という記事を書いたことがありました。有力な電子書籍端末が第3第4水準漢字に対応していないのは残念なことです。

ぜひとも、こうした携帯情報機器や電子書籍端末の開発元におかれては、JIS X 0213の文字をフルサポートするようお願いしたいところです。

また、PCにおいても、Windows XPを素のままで使っていると、第3第4水準漢字に対応していません。まだXPを使っている人も多いと思います。そういう場合は、下記のようなフォントをインストールして、第3第4水準に対応しましょう。

第3第4水準漢字は、漢字マニアや研究者といった特殊な人のためではなく、現代日本で普通に文字を使う私たちのような人のためのものです。第3第4水準フォントが全ての情報機器に行き渡って、いつでもどこでも使えるようになることを強く希望します。

以前使っていた携帯電話、ドコモから発売されていたF504iのフォントについて。機械自体は既に手元にないのですが、覚えているうちに書き留めておきましょう。

記憶に頼って書くと、39区77点の字体が「剥」でなく「剝」でした。また、18区10点は「鴎」でなく「鷗」だったように思います。

この機種を私が買ったのは2002年のことなので、その辺りに発売された機種でしょう。この機種のフォントは、JIS X 0208の例示字形の細かいところには拘泥せず、設計者が良いと考えた形に作ったのでしょう。それはそれで妥当な方針だと思います。文字コード規格がフォント設計の細部まで決めることでないことを、設計者はきちんと理解していたのかもしれません。

ただ、18区10点について互換包摂を適用するなら、どの字体を採用したのかを文書で明示しなければならないことに97JISではなっているのですが、この携帯電話がそういう措置をとっていたかどうかは分かりません。

(なお、97JISの「鴎-鷗」という互換包摂は、97JISの包摂規準としては例外的なものなので、97JISの包摂規準一般の例として出すにはあまり適当とは思われません)

最近PDF読み機として使える機械に興味を持っていて、KindleやiPadなどをウェブで調べていたりしたのですが、その中で面白いブログ記事を見掛けました。

文字通り、Kindle 3でJIS X 0213の文字がどれだけ使えるかを調べたレポートです。

詳しくは上記のリンク先を見てほしいのですが、かいつまんでいうと、BMPの漢字は大丈夫だが面02のCJK拡張Bの文字は全滅ということです。また非漢字は一概にいえないそうですが、結合文字を使うものは駄目なようです。Kindle 3.1はBMP内でも互換漢字は表示できないということです。

Kindleでは、JIS第4水準でUnicodeの面02にある「𩸽 (ほっけ)」という字(U+29E3D)は表示できないということになります。

こういうややこしい状況がなくなって、いつでもどこでもJIS X 0213の全文字が扱えるようになると良いと思います。

先日、「iPod Touchの漢字変換はJIS X 0213の成果を取り入れていた」という記事を書きました。JIS X 0213の文字が単語として入力できるという話です。このときは、てっきり、iPod Touchは (iPhoneも?) JIS X 0213の文字全部に対応しているのだと思っていました。

ところが、昨日のブログ記事紹介したページをiPod Touch (第2世代) で見てみたら、一部の文字・記号に、表示できていないものがありました。

例えば、将棋の駒の記号☗☖や、白抜きの丸付き数字の⓴、二重の丸付き数字⓵・⓾は表示できていませんでした。また、Unicodeでは合成の必要な文字、か゚やセ゚などは、半濁点の部分が間延びして表示されています。

iPod Touchのフォントはどういう基準で文字を揃えているのか、ちょっと不思議に思いました。

やはり、JIS X 0213の文字はいつでもどこでも使いたいものですね。

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