私は最近、パソコンで日本語を入力するのに月配列という仮名配列を使っています。
この配列は、仮名の並びは新JIS配列(JIS X 6004)から、「中指シフト」というシフト方式は花配列から、それぞれ影響を受けています。
月配列の良い点のひとつとして、特別なキーボードを必要としないことが挙げられます。広く出回っている日本語キーボードでも勿論かまいませんし、ANSI配列(英語キーボード)でも使えます。私はHappy Hacking Keyboardで月配列を使っています。Linuxでよく使われる日本語入力ソフトウェアのSCIM-Anthyでは月配列がメニューに用意されており、選択するだけで月配列で入力できるようになります。(Windowsの場合はキー配列を変えるソフトウェアを導入する必要があります)
手元にある普通のキーボードがそのまま使えて、なおかつ打鍵数はローマ字入力の4分の3程度とされています。効率的な文字入力に興味のある人にとっては、検討する価値のある配列だといえます。
さてこの月配列の前身のひとつが新JIS配列(JIS X 6004)であるわけですが、この規格は従来のJIS配列(現在多くのキーボードに刻印されている仮名配列です)の反省点を踏まえて研究を重ね、どのような配列が打ちやすいのかを調査した上で設計し、1986年に規格化されました。ところがいろいろな理由があってか普及しなかったため、1999年にあえなく廃止となってしまいました。
しかし、廃止されてそれで終わりではありませんでした。新JIS配列の設計の良さを認めるキー配列マニアのような人たちがネットの掲示板等で議論を重ねた結果、花配列の中指シフト方式と組み合わせることによって、新JIS配列は月配列という新たな形によみがえり、新たな利用者を獲得することができました。月配列の発祥の地は2ちゃんねるです。
短期的にはたとえ商業的な成功を収めることができなかったとしても、合理的な設計が文書化されて残っていればいつか再評価される日も来うるのだということを、新JIS配列と月配列の歴史は物語っているように思えます。
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