リチャード・フロリダ『クリエイティブ都市論
』は刺激的な本です。
交通・通信技術の発達によって世界のどこにいても変わりなくなる、という「フラット化」の考えが一方にあります。それに対して著者は、実際にはどこでも同じになってはいず、むしろ大都市圏への集中が一層進んでいて、世界はフラットというよりも鋭い凹凸のある「スパイキー」になっている、と指摘します。それならば、自分はどこに住むべきなんだろうか、どういう都市が人をひきつけるのだろうか、というのが本書のテーマです。
現代の都市は単独であるのではなく、いくつもの都市が複合して巨大な経済圏を形成しています。著者が独自の手法で分析した経済圏の単位を「メガ地域」といいます。アメリカ東海岸のボストン、ニューヨーク、ワシントンと連なる地域を一体とみなして「ボス゠ワッシュ」と名付ける、などといった具合です。
日本には4つのメガ地域があるとします。規模の大きな順に、「広域東京圏」、「大阪゠名古屋」、「九州北部」、「広域札幌圏」です。中でも「広域東京圏」は世界最大のメガ地域だとしています。日本以外の東アジアには、「ソウル゠釜山」、「上海」、「台北」などのメガ地域を挙げています。
日本、特に東京近辺にいると、ともすると日本国内は「東京 vs その他地方」のような構図でとらえがちですが、上記の4大メガ地域という視点でとらえるのが、より未来的な考え方かもしれません。もう少し日本国内に特化した見方をするなら、「東名阪」+「札仙広福」の7大都市圏でもいいでしょう。
都市の魅力として本書では美観の重要性を挙げています。要するに、富をもたらすクリエイティブな人材は美しい場所にひかれるということです。都市の美しさという面では、日本の各都市はまだまだ進歩の余地があります。また、マイノリティを含む多様な人々を受け入れる寛容性、開放性も重要だとします。他人と違うことをするクリエイティブな人材にとっての居心地の良さに関係するということでしょう。
時代が都市圏間競争に移行し、人材の流動性が高まれば、なにも東京にこだわることはないと考えるクリエイティブな人材も増えるでしょう。もっと自分にあった土地で活動したいと考える人材をひきよせる受け皿を各都市が用意することが、都市圏の競争力強化につながります。