iDというのはSuicaやEdyのようなチャージして使う電子マネーと比べてあまりメジャーでない印象があるのですが、要するに自分のクレジットカードの決済をスマホのタッチひとつで行うものなので、チャージ不要で便利なものです。

使ってみると実は色々お得が隠されていることに気付きます。

dカードminiとローソン

dカードminiというものがあります。ドコモの携帯電話やスマホにちょちょっと設定するだけでiDが使えるようになるものだそうです。私は全然知らなかったのですが、これには意外なお得メカニズムが隠されています。

普通、iDを使うには自分のクレジットカードの会社に申し込んでiDのための番号を発行してもらう必要がありますが、dカードminiの設定をするとそれなしにiDが使えるようです。クレジットカードを登録しないなら請求はどうするのかというと、ドコモの携帯料金と一緒に請求されます。

ここでドコモの料金をクレジットカードで支払っていると、dカードminiの買い物もあわせた分だけクレジットカードのポイントが付きます。なおかつ、dカードminiの買い物200円につきドコモのdポイントが1ポイント付きます。両方のポイントが付くわけですね。これは普通のクレジットカードでiDを使う分にはない利点です。

なおかつ、ローソンとdカードのタイアップがあって、いつまでなのかは分かりませんがdカードでローソンの買い物が3%オフというキャンペーンがあります。これはdカードminiにも適用されるので、ローソンをよく使う人には良いでしょう。

ただしdカードminiは1か月に使える金額が最大でも3万円だそうなので、あくまでも「mini」なのでしょう。

セゾンiDで永久不滅ポイントが2倍、セブンイレブンだとさらに...

セゾンカードはiDに対応しています。セゾンカードで買い物をすると付与される永久不滅ポイントが、iDでは2倍になります。iDを使うだけでセゾンカードが高還元カードの仲間入りです。

あと、なかなか不思議に感じたのですが、セゾンカードをセブンイレブンやイトーヨーカドーで使うと、永久不滅ポイントとは別に、自分のnanacoにポイントが付く、というサービスがあったりします。nanaco番号をあらかじめウェブサイトから登録しておく必要があります。各種ウェブサイトの情報によると、セブンイレブンでは決済にiDを使ってもこのnanacoポイント付与の対象になる、ただしイトーヨーカドーではならない、ということだそうです。何でこういう違いがあるのかは知りませんが、セブンイレブンではセゾンiDを使うと永久不滅ポイント2倍なおかつnanacoポイントが付く、ということのようです。クレジットカードの世界は不思議が多い......。

iDバリュー

これは三井住友VISAカードでiDを使う場合のサービスらしいのですが、キャンペーン特典やカードのポイント交換でキャッシュバックされるような時のポイント残高のようなものと思えば良いでしょう。iDの請求額と相殺されます。例えばポイント交換でiDバリュー500円分をもらって、当月のiD請求額が2000円だったら、500円を引いて1500円が請求されます。ただしiDバリューには3か月といった有効期限があるのでそれまでiDの請求がないと無効になってしまいます。

おわりに: もっとアピールしても良いのでは

iDはせっかくの良いサービスなのにアピールが不十分という印象があります。頑張れiD!

以前もiDについて書いたことがあります。興味を持った方はこちらもどうぞ:

(追記) 電子マネーについては下記の書籍が面白い読み物でした。興味のある方はどうぞ:

Java 9では国際化機構で用いられるリソース文字列のファイル表現の文字コードとしてUTF-8がデフォルトで使用されることになるそうです。従来、ISO/IEC 8859-1がデフォルトであるためにUnicodeエスケープが必要となり、外部ツールで日本語テキストを「\u3042」のようなエスケープ文字列に変換する煩わしさがありましたが、ようやく解消されることになります。

Javaには古くから国際化のための枠組みが用意されています。その最も基本的な機構となる、多言語のメッセージ文字列を用意する仕組みとしては設定ファイルなどに用いるプロパティファイルという形式が用いられています。ところがこのファイルはデフォルトの文字コードがISO/IEC 8859-1という西欧向けの1バイトコードなのでした。

このため、JDKではnative2asciiというツールが提供されて、Shift_JISやEUC-JP等の文字コードからUnicodeエスケープを用いる形式に変換できるようにされていました。また統合開発環境のEclipseにはプロパティエディタというプラグインが開発され、コマンド操作なしにあたかも直接漢字を記述できるかのような操作が可能になっています。とはいえリソースファイル自体はもちろんUnicodeエスケープなので、普通のテキストエディタで表示すると欧文以外は全く読めないものになります。

Javaのプロパティファイル自体はUTF-8で記述されても読み込めるように既になっていたのですが、その重要な用途である国際化のリソースファイルとして読み込むResourceBundleクラスではなぜかISO/IEC 8859-1がデフォルトという状態が長く続いていました。実は自分でクラスを定義して一工夫してやるとUTF-8にできるという裏技(?)もあったりしたのですが、そういうのはデフォルトで提供してほしいものです。(この辺のことは拙著『プログラマのための文字コード技術入門』第7章に記しています)

オープンソースのWebアプリケーションフレームワークであるPlay Frameworkではリソースファイルにわざわざ別の仕組みを用意してUTF-8で直に書けるようにしています。リソースファイルがもっと早くUTF-8で符号化できるようになっていたらこのような措置はとられれなかったかもしれません。

遅きに失した感はあれども、ともかく改善されることになって良かったです。

Unicode 10.0が2017年6月20日にリリースされました。今回は8,518文字が追加されています。

日本語話者にとって最も関係しそうなのは変体仮名の導入でしょう。

変体仮名とは

現在、平仮名は1音につき1文字ですが、以前は同じ音に対して複数の書き方がありました。例えば、平仮名の「か」は漢字「加」が元になっているもので、これ以外に「か」と読む平仮名はありませんが、かつては「可」を元にした仮名も使われていて同じく「か」と読まれました。そうした複数のバリエーションがあった仮名を明治時代に標準化したものが今の平仮名です。このとき採用されなかった異体が変体仮名と呼ばれるものです。

変体仮名は今日では文章を綴るのには使われませんが、そば屋の看板などで装飾的に用いられることがあります。

Unicodeにおける変体仮名

変体仮名はUnicodeではBMPでなく面01に配置されました。U+1B000-1B0FFのKana SupplementブロックおよびU+1B100-1B12Fの Kana Extended-Aです。例えば先ほど例に挙げた「可」に基づいた「か」は符号位置U+1B019にあり、文字名はHENTAIGANA LETTER KA-3とされています。読みを「KA」のように示して、複数ある異体は数字で区別されています。全部で285文字の変体仮名が収録されています。

符号化の方式としては、単純にひとつの符号位置にひとつの文字が対応する形になっています。複数の読まれ方をする字がありますが(例えば「惡」に基づく字、「あ/を」)、こうしたものもひとつの符号位置にのみ置かれ、読みが違うからといって重複して配置されてはいません。標準化の途中の段階では、音価に相当する符号位置を与えて異体字セレクタのようなもので変種を示すといった案もあったようですが、最終的には扱いやすい形式に落ち着いたことになります。

漢字の追加も

今回、CJK統合漢字拡張Fが追加されています。7,473文字と結構大きな追加です。使う機会があるかどうかはまた別の話ですが......。

拡張Fのコード範囲は2CEB0-2EBE0となっています。

Google検索結果からサイトを除外できる

Google Chromeの拡張機能のPersonal Blocklistというのを知りました。

これをインストールすると、Google検索結果から指定したサイトのページを除外することが簡単な操作でできます。いつものGoogle検索結果画面に、当該サイトをブロックするという機能が追加されるので、このサイトはおかしいと判断したらそこを押せば検索結果から綺麗さっぱり見えなくなります。そのとき限りではなく、その後も適用されます。もちろん、誤操作や濡れ衣で不当にブロックしてしまったものは後で戻すことも可能です。

手元のPCのブラウザで動く拡張機能であるわけですが、どのサイトをブロックした(あるいは元に戻した)という情報はGoogleのサーバにも送られ、Googleの検索結果に影響するのだそうです。たくさんの人がブロックしているサイトは情報の信頼性に問題があるとみなされるということなのでしょう。もちろん、それを悪用する人も出てくることは容易に予想できるので、全く鵜呑みにするというものでもないでしょうけど。

キュレーションサイト問題の改善につながるか

私がこれに期待するのは昨年来話題のキュレーションサイト(パクリサイト)問題の改善です。ひとの写真や文章を勝手にコピペしていいかげんな記事を量産するサイト、こういうのは信頼性が低いサイトの代表であるので見てもしようがないし、写真を何度も無断利用されている私にとっては不快極まるサイトです。

早速、検索結果に出てくる目障りなキュレーションサイトをいくつかブロックしてみました。きちんとしたサイトが上位に出るようになってせいせいしました。事前に思った以上に、精神衛生上よいと感じます。私同様に、キュレーションサイトに著作物を無断利用された方がこの拡張機能を活用し高く評価している記事があります。この方はこの機能の効果を「スッキリ」と表現されていて私の感想とよく一致します (「Google Chrome機能拡張「Personal Blocklist」役立たずの検索結果をサイトごとブロック!」)。

Googleとキュレーションサイトといえば、数箇月前にキュレーション対策とみられるGoogleの検索アルゴリズム変更が話題になりました。

記事を見ると確かに、旅行系のキュレーションサイトRetripが順位を下げていると報じされてはいるのですが、個人的にはあまり体感していません。検索語にもよるのでしょう。このアップデートのあとも、出鱈目な記事として他サイトで批判されているRetripのページがGoogle検索の1位を飾っているのを目にしてもいます。また、最大手とみなされているNaverまとめはこのアップデートの影響を受けていないようだともされています。

DeNAやリクルートがキュレーションサイトを閉鎖する中、Line株式会社はNaverまとめをやめるという発表をいまだにしていません。それどころか、同社の上級執行役員メディア担当の島村武志氏は「引用される、されないの定義に関しても、どこの誰かは分からない人に引用されているから権利者は怒るのであって、ネット界隈で有名な人に引用されたら「ありがとうございます」となるのではないでしょうか」(「「お前が言うな」の声も想定していた----キュレーション騒動を受けてNAVERまとめが新方針を打ち出した理由」TechCrunch Japan, 2017年1月10日)と合法な引用と著作権侵害の区別もついていないだけでなく有名人にされるならいいだろうという非常識な発言で大いに失望させてくれました。さらには「ネットに落ちている情報をもとに〔...〕記事をまとめる」(同) と他者の著作物を「落ちている」もの扱いして、Naverまとめに著作権を侵害された写真家有賀正博氏には「この人たちに一次権利者の権利保護を期待しても無駄です」(NAVERまとめが、パクリサイトの運営を決してやめない理由とは)と斬って捨てられました。

Personal Blocklistを使う人が増えれば、皆が認めるようなコピペ粗製乱造サイトは検索順位の下の方に沈んでいくのではないかな......と期待したいところです。

Pythonとlibiconv, nkf, Javaのコード変換を比較した記事がありました。

ASCIIとJIS X 0201の違いに起因する円記号問題とチルダ・オーバーライン問題、それにUnicodeのFTPサイトが原因と思われる全角ダッシュの件という既知の問題が多いので目新しくないのですが (『プログラマのための文字コード技術入門』をお読みいただければわかります)、Pythonについて目新しげな話がありました。

Pythonでは他と違って、二重(白抜き)の括弧をU+FFxxの位置にあるものでなくU+29xxに割り当てているそうです。うむ。そうか、そうきたか。

JISの公式な対応表ではU+FFxxの方になっています。文字名でいうとFULLWIDTH {LEFT|RIGHT} WHITE PARENTHESISです。

ただ、ここで「なぜFULLWIDTHなのか」という疑問を持った方もいるでしょう。本来UnicodeのFULLWIDTH/HALFWIDTH云々というのは、シフトJISのように1バイトコードと2バイトコードとの間で重複符号化のある符号化方式との往復変換の救済用に設けられたものです。ところがこの括弧記号はJIS側の符号化方式(Shift_JISやEUC)で重複符号化されているものではないので、本来FULLWIDTHになるきちんとした理由はありません。にもかかわらず、UnicodeにJIS X 0213の文字を追加する作業でなぜかFULLWIDTHの方に入れてしまいました。

一般に用いられている変換表は、(多少ヘンだと思ったかもしれないにせよ)このUnicodeの作業を反映したものになっています。JIS X 0213の追補1でもそうなっています。Pythonのような判断をしたものは私はほかに見たことがありません。

Pythonがこうしたのは、強い信念のもとでの判断なのか、そうでなく何か行きがかり上そうなっただけなのか、ちょっと興味を惹かれるところではあります。

UnicodeにはのちにU+2E28, 2E29に{LEFT|RIGHT} DOUBLE PARENTHESISというのが追加されて(バージョン5.1らしい)、どうもこっちがいいんじゃないかという気もしてくるのですが、後から出してこられるのはつらい。3.2の時にあれば良かったのですが。

ちなみにこの二重の括弧は、文章や辞書において文中に入れる注記の類に用いられることのある記号です。

【追記 2017年6月7日】 JISとUnicodeの間のコード変換表はこちらから入手できます。JISの公式な定義と同等です: JIS X 0213のコード対応表

iDとはどんなものか

電子マネーというとSuicaやEdyを思い浮かべることが多いでしょう。これらは事前に入金(チャージ)しておいて使います。一方、ポストペイ型電子マネーと呼ばれるiDやQUICPayというものもあります。これらは名前はずっと前から知っていたものの、どういうものなのかは何だかよく分からないでいました。Suicaで困らないし、まあいいや、と。

ただ最近機会があってiDを使うようになって、ああそうかこういうものだったのか、と今更ながらに理解しました。率直に言って、もっと早く使えば良かった。

思うに、iDを「電子マネー」と呼ぶから分からなくなるのではないか。利用者視点で単純化して言えば、iDとは「自分のクレジットカードの決済をスマホのタッチだけで行う仕組み」です。

ただしどのカードでもいいわけではなく、対応しているものに限られます。三井住友カードやセゾンカード、UCカードなどが対応しているそうです。(2017年5月27日追記: ほかにも道銀カードや横浜銀行、沖縄銀行など多数の地方銀行のカードも対応しているそうです)

上記の説明は例外をいろいろ省略しています。例えば携帯電話でなくてカードのタッチで決済したり、あるいはクレジットカードの契約なしに使う方法があったりもするようです。ただおそらく普通はスマホにカード情報を登録する使い方が多いだろうと思います。また実際にはいきなりカード番号そのものをスマホに入れるような運用ではなく、iDとしての番号 (iDのID番号?)を用います。この発行が必要なので、使い始めたいと思ったとき、カード会社に連絡して使えるようになるまで少々時間がかかるようです。

チャージ不要の2つの利点

利点は事前のチャージが要らないことです。通常のクレジットカード決済と同じで、iDに登録したカードに請求されます。チャージ不要というのは2つの意味で有利です。

1つは、残額を気にしなくていいこと。モバイルSuicaのようにスマホからチャージできるのは便利ですが、それでも、いくら入っているかを時々気にする必要がある。オートチャージ機能もありますが、あれは発動するタイミングが駅の改札だけらしいのと(使ってないのでよく知りません)、ちょっと高めの買い物だと結局残額を確認することになるでしょう。そういう煩わしさから解放されます。

もう1つは、チャージによるリスクを負わなくていいことです。ここでいうリスクとは、例えば、チャージしたものの使わずに退蔵してしまったとか、その電子マネーの使える店舗が減ってしまったとか、あるいは運営企業のビジネス上の判断によって使い勝手が悪くなったり価値が減ったり、極端には無価値になったりということもありえるでしょう。

そこまでいかないにしても、例えば1万円入金して1年間全く使わなかったとしたら、利息が付くわけではないので、同じ金額で個人向け国債を買えば最低でも金利0.05%分つまり5円増える(税引き前)のと比べると損しているとも言えます。

だから実はチャージしないで支払える方が利用者側にとっては良いと言えます。ただ、クレジットカードによってはモバイルSuicaへのチャージでポイント還元率が1.5%とかになっているのはその分のリスクプレミアムとみなせなくもないのでそこをどう評価するかが問題かもしれません。

おわりに

電子マネーやクレジットカードは、コンビニやスーパーの少額決済では現金をジャラジャラいわせるよりもスムーズで手早く済むこともあり、積極的に活用していきたいところです。iDはその有力な選択肢といえます。

北海道南部の松前町は、20世紀日本の書家・金子鷗亭の出身地であり、その影響で書道教育の盛んな町として知られています。

その松前で高校生の書道パフォーマンスの大会が開催されたニュースがありました。

上記のうち、函館新聞の方は記事の中にちょっと残念な部分があります。書家の名前が「金子鷗亭」と、「鷗」の字がHTMLの文字参照になってしまっています。40407は16進表記で9DD7にあたります。UnicodeでU+9DD7は第3水準漢字「鷗」の符号位置です。

人手で40407のような数字を入力したとは考えにくい。私の想像ですが、テキストエディタなどで「鷗亭」と入力したあとで、工程上の何らかの段階でシフトJISに変換することがあったのではないでしょうか。その際に、第3第4水準漢字まで対応しているJIS X 0213Shift_JIS-2004ではなく、第1第2水準までしか対応していないJIS X 0208ベースのShift_JIS (ないしはその誤った実装であるCP932) に変換しようとして、このような結果になったのではないか。

SJISとの変換が必要な時には、Shift_JIS-2004 ないしは Shift_JISX0213 を指定すれば、こうした問題は起きなくなります。Python, PHP, Java, libiconv等を用いるとUTF-8とShift_JIS-2004との間でコード変換ができます。

この鷗(かもめ)という字は、常用漢字には入っていませんが、人名用漢字には入っています。文化的な分野ではこの金子鷗亭や森鷗外といった人名に使われますし、白鷗大学 (栃木県) という大学名や鷗島 (北海道江差町) といった地名にもあります。いつでも使えるように、第3第4水準漢字に対応した符号化方式 (第3第4水準文字コード) を常に用いることが肝心です。

なお、上記ニュース記事のもう片方、毎日新聞の方では、「鴎」という略字体を使っています。これはJIS X 0208の1983年改正で大きく字体の変えられたものとして有名ですが、元は新聞による使用の方が83JISよりも先だったのだそうです。その意味では、新聞がこの略字を使うのは一貫していると言えなくもない。ただ、表外字の部分字体にも略字体を適用しようとするなら鴎の一字だけでなく全ての表外字が対象になるのか、そうでないのなら鷗が適用対象になる理由は何なのかと、方針がなかなか難しくなってくるので、元来の字体 (鷗) にあわせるのが無難であろうと思います。

大学カードというものがある

今や生活に欠かせないクレジットカード。ネットでの買い物には特によく使います。

使うと大学の支援になるクレジットカードがあります。カードで買い物をすると購入金額の一部がカード会社に手数料として支払われますが、その一部が大学の活動の支援に回されるというものです。大学カードと呼ばれるようです。どれくらい広く知られているものかよく分かりませんが、私は最近知りました。

こうした大学カードは、カード会社と大学が提携して発行しています。その大学の卒業生や教職員、あるいは学生の父母が発行対象となります (カードによって異なります)。在校生は対象でないことが多いように見受けられます (この点もやはりカードによって異なるでしょう)。

大学の支援になるだけでなく、利用者向けの特典として、大学の施設の料金の割引や、近隣のお店の優待などが用意されていることもあります。

どんな大学にあるか

国立大学では、北海道大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学などに大学カードがあります。

例えば北海道大学カードの場合、カードの手数料から、奨学金や留学支援金、課外活動への費用援助等に活用されるとのことです (北大カードのページより)。カード利用者の負担なしに母校の支援ができるのはうれしいですね。

自分の母校にこうしたカードがあるかどうか、ネット検索してみるとよいでしょう。大学カードの情報を集めたサイトもあります。

どれくらいの額になるのだろう

ただ、支援といっても、ひとりの額としてはさほどにはならないのではないかなとも思えます。カード利用時に何パーセントが寄付されるのか具体的な数字が書かれていないので憶測ですが、例えば仮に1%だとすると、年間10万円使ったとしたら1,000円でしかありません。もちろん、実際のパーセンテージや利用額によって様々に変わり得ますが、ざっくり言ってそのオーダーだと思って大きくは違わないのではないでしょうか。

それなら自分で大学に何万円かさっさと寄付した方が手っ取り早い、というのもあり得る考えです。(北大の場合は北大フロンティア基金)

ただ、自分の意思で重い腰を上げて寄付するのと違って、普段の生活の中で意識せずに少しずつ寄付されていくという仕組みは、使う人が多いほど威力を発揮しそうです。

曖昧な言い方が好まれる風潮があると感じています。しかし、仕事の文章のような正確さが重要になる場面でまでぼかした言い方をするのは望ましくありません。説明や論述の文章では言葉の明晰さを重視すべきです。

「など」という言葉は曖昧にするのによく使われます。ここではこの言葉の使い方を取り上げます。

「など」と書いたら、「ほかには何が」と問う

「リンゴやミカンなどを買ってきた」というと、ほかにはバナナやイチゴもあるのかな、と思います。このように、「など」という言葉は、「ある語に添えて、それに類する物事が他にもあることを示す」(広辞苑) ために用いられます。

しかし、必要もないのに「など」をつけてしまう例が時折見受けられます。会話の中で思いつきでしゃべっているような時はともかくとして、ある程度正確さが要求される文章では、「など」と書いたら「ほかには何があるんだっけ?」と考え直してみましょう。もし、該当するものが既に挙げたものしかないなら、「など」は要りません。

例をひとつだけでなく複数出す

上の例文、横着して「リンゴなどを買ってきた」と例示を一つだけにすると、リンゴのほかにどんなものがあるのかが曖昧です。相手や文脈によって、言わなくても通じる状況なら別ですが、一般的には複数の例を出してほかに何があるのか推測しやすくするのが適当です。上記の例のように「ミカン」を付け加えれば果物シリーズになりますし、ほかには例えば「リンゴやきりたんぽ、わんこそばなど東北の味覚」というように、別の種類のものを並べれば別の意味になります。

他の意味の「など」もある

補足しておくと、「など」という言葉にはここで扱った用法のほかにも、「軽んじて扱う場合」「引用文を受けて、大体このようなことを、の意」(ともに大辞林より) といった意味もあります。これらの場合には上記の説明が当てはまらないことはもちろんです。

笹原 宏之『漢字に託した「日本の心」』 (NHK出版新書) を読みました。

漢字は古代中国から渡ってきたものですが、日本では中国とは異なる使われ方やとらえ方をされているということが分かります。中国では音が重要なのに対し、日本では言語としての音とは別に意味を表すという傾向が示唆されます。本書の例でいえば、料金表の「大人・小人」のような「小人」は何と読むのか分からないが意味は通じるといった具合です。

現代の漢字の簡略化でも、中国のそれは文字の音が重視され、発音の同じで画数の少ない文字を借りて簡体字とすることがしばしばあります。例えば中国の通貨の「元」ですがこれはもとになっている漢字「圓」と同じ発音の「元」を借りたもので、字の形を略したものではありません。日本では「圓」の字の形を略した「円」になり、韓国では「圓」の読みのウォンを採用するけれども漢字はもう使っていないという、同じ字がベースになっていても三者三様のあり方が見て取れます。

本書に挙げられている別の例で言えば、現代中国で「穀」を「谷」とするのもやはり音による簡化で、一方、日本語では「たに」「や」など地域により異なる音で同じ概念をもつ言葉に「谷」をあてるという (東京の「渋谷(しぶや)」のように、「や」は関東地方に多い言い方)、異なったあり方になっています。

さらに、同じ言葉でありながら字面の雰囲気で文字を選り好みするという傾向も日本独自のものとしてみられます。「ひざし」という語について「日差し」「日射し」などの表記のイメージを学生に調べたことが述べられています。また人名ともなると、文字のイメージやさらには文字を構成要素に分解してのイメージによって使われることもあり、日本の漢字は表語文字・表意文字から離れて「表イメージ文字」とでもいうべきものになりつつあるのではないかと述べられています。

字の構成要素を文字そのものよりも重視するようになるととんでもない勘違いのもとになります。本書の例では、「月」と「星」のイメージから子供の名前に「腥」という字を使おうとしたという話があります。勿論これは「なまぐさい」という字です。

本書は実に様々な例を持ち出しているのですが、私が面白いと思ったのは歌についてです。流行歌の歌詞において「ジャスミン茶 (ティー)」のように漢字に独特なルビを振るのは、本来的に声として聞かれるべき歌詞でこうしたことが行われるというのが面白い現象だと思いました。歌詞の表記を凝ったとして聞き手にそのこだわりが届くものでしょうか。ちなみにコスモスという花を「秋桜」と書くのは流行歌から普及したのだそうです。

漢字・平仮名・片仮名という3種類の文字を使い分ける表記体系において字面のイメージを全否定することはできないとしても、文字の本分として、辞書的な意味、語義というものを重視した運用にしていかないと、言語表記がいたずらに煩雑化してなおかつ大した意味がない、ということになりかねないのではと懸念します。

月別 アーカイブ