合字とは
合字というものがあります。複数の文字を組み合わせて一文字となったものです。欧文の「Æ」のような文字はどこかで見たことがある人が多いでしょう。いうまでもなくAとEの組み合わせです。ドイツ語の「ß」も「ss」を表す合字です。合字を英語ではligatureといいます。
漢字にも,「麻呂」を組み合わせて一字になった「麿」や,「久米」の「粂」等の合字があります。
仮名文字にも合字があります。今日,通常の文章には用いられませんが,昔のものには見ることができます。こうしたものは仮名合字や合略仮名と呼ばれます。
ここではそれらのうち,現在符号化されているものについて文字コードをまとめてみます。
仮名合字の文字コード
文字 | 読み | JIS X 0213 | Unicode | Unicode文字名 | Unicodeブロック |
---|---|---|---|---|---|
ゟ | より | 1-2-25 | U+309F | HIRAGANA DIGRAPH YORI | Hiragana |
ヿ | コト | 1-2-24 | U+30FF | KATAKANA DIGRAPH KOTO | Katakana |
𪜈 | トモ | U+2A708 | (CJK) | CJK統合漢字拡張C | |
𬼀 | シテ | U+2CF00 | (CJK) | CJK統合漢字拡張F | |
𬼂 | なり | U+2CF02 | (CJK) | CJK統合漢字拡張F |
最後のものは合字ではなく「也」の草体からきたもので,仮名のように扱われるそうです。
これらのうち最も早く取り入れられたのは,JIS X 0213:2000にて符号化された平仮名合字より,片仮名合字コトです。それに基づいてUnicodeにも入りました。
Unicodeで漢字扱いされているものがあります。ものによっては,仮名合字でなく漢字の草体としてみなされるものもあるようです。
これで全てではなく,今後符号化されるものもあるかもしれません。
用例
- 宮本 百合子『街』,青空文庫。「アナタノトヨ子ゟ」
- 夏目漱石『吾輩は猫である』中篇自序,青空文庫。「再会スルヿハ」
- 「春秋」 漢文訓点の例。1ページの「記」右下にコト合字,2ページ「而」の右下にシテ合字が見え,4ページ「然」の右下にトモ合字が見える
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