何もしていないうちから「お疲れ様です」と言われる

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ここ何年か、若い人からの仕事のメールが「お疲れ様です」という書き出しで始まるものが目立つので不思議に思っていました。そういえば、朝一番であっても「おはようございます」でなく「お疲れ様です」と声をかけてくる人もいます。最近ようやく、この現象がなぜ起こっているのか分かってきました。

どうやら学生同士の間で「お疲れ様」という挨拶が流行っているようです。Twitterを見ていたら、大学の先生をしている人が、学生からのメールが「お疲れ様です」で始まっているので、「疲れるのはこれからだよ」と愚痴をこぼしているというのを見かけました。

飯間浩明「辞書編纂者の、日本語を使いこなす技術」(PHP新書)に、著者が大学で講義したときのエピソードが記されていました。講義が終わって学生たちが教室から出て行くときに「お疲れ様でした」と言われたというのです。こういうときには「お疲れ様」というものではないという説明をしたということです。

この本では、学生がバイト先で覚えてきた言葉を学生同士の挨拶に使うようになったのではないかと推測しています。そういう学生が卒業して会社に入ってくるようになったので、冒頭のように私も、まだ何もしていないうちから「お疲れ様です」と言われるようになったのでしょう。

「お疲れ様」というのは「ご苦労様」と同じで、相手の労をねぎらう言葉ですから、使うべき場面とそうでない場面とがあります。(なお、「ご苦労様」は目上の人に使ってはいけないが「お疲れ様」はそうでないとマナー本に書かれていることがありますが、それには根拠がないということが本書には書かれています。この記事の末尾の引用ツイートにもあります)

例えば一日の終わりに、一緒に働いた同僚から「お疲れ様でした」と言われるのはいいでしょう。一方、朝まだ何もしていないうちから「お疲れ様」と言われるのはかなり変だと思います。

メールでも同じことで、相手をねぎらうべき状況であれば「お疲れ様です」と書くのは結構です。しかし唐突に「お疲れ様です」と書いてよこされると「えっ?」と思います。

仲間内の挨拶なら別に何でもいいのかもしれませんし、そもそも挨拶は言葉の意味なんてかまっていないともいえます。もしかしたら将来には、「こんにちは」(意味は「今日は」)や「さようなら」(同じく「それでは」)のように、「お疲れ様」も本来の意味とは無関係に挨拶の言葉として通用するようになるのかもしれません。ただ今の時点では、そのようには見なされません。

やみくもに「お疲れ様です」というのはやめて、時間や状況に応じて「おはようございます」「こんにちは」など普通の挨拶をするようにするのが良いでしょう。状況にふさわしい言葉かどうか、ということが一番肝心です。

状況にふさわしい言葉かどうかということの参考として、「お疲れ様」を目上の人に言うことの是非について、この著者がTwitterにアップロードしたツイートを紹介しておきます。手書き画像ツイートで140文字の壁を越えているので少々長いですが、状況に合う使い方かどうかを例を示しながら説明されています。

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