70年代オカルトブーム、こんなだった!

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私は1年半くらい前からSony Readerを使って電子書籍を活用していますが、それでも、書店の実店舗というのは、本を発見する場として一日の長があると感じています。

先日、本屋の店内を歩いていたときに、視界の端に入ったこの本が、強烈に注意を引きつけました。まずは、次の書影をご覧いただきたい。(Amazonへのリンクなので、FirefoxのAdBlock Plusをお使いの方は表示されないかもしれません)

これ、見覚えありませんか。何か見たような気がするけど、なんだっけ、と思う人もいるでしょう。

何かといえば、ノストラダムスを紹介して一躍大ヒットになった本をパロディにした表紙なのです。元の本では「大予言」となっていた字のところを「大百科」にしている。書体も当時のものに合わせていて、全体の雰囲気を再現することに成功しています。

本書『ぼくらの昭和オカルト大百科』(初見健一 著、大空ポケット文庫)がどういう本かというと、70年代のオカルトブームを振り返るものです。当時は、今から見れば異常というくらい、テレビや雑誌などでオカルトものが取り上げられていました。UFO、雪男、ネッシー、超能力、心霊現象、などなど...。

当時子供だった人は「メディアというのはそういうものだ」と受け入れていたかもしれませんが、今の状況と比較して考えてみれば、いや、あの頃がヘンだったのだ、と思い至るのではないでしょうか。午後8時のテレビ番組でUFOやら超能力やらをやってたなんて、今の時代にはちょっと考えられない。

1973年という年は、ノストラダムスの大予言の本が出て、その他各種のオカルトねたが一斉に世の中を賑わすようになった、特異な年だったようです。その後、70年代を席巻したオカルトブームは、80年代にもまだ尾を引くものの次第に下火になり、90年代、オウム真理教事件によって終息することになる。

オカルトものの受け止め方は、ブームの当時何歳であったかによっても異なるかもしれません。本書の著者は、ブームの当時にちょうど小学生であって、ブームを真っ向から受け止めた世代ということになります。

本書はUMA、UFO、超能力、心霊現象といったジャンルごとに、どんな出来事が世間を賑わしたのか、そしてどんなふうに消えて行ったかを記しています。これ一冊でオカルトブーム全体の見取り図が得られるという、包括的な理解のために役に立つ本です (包括的に理解して何の役に立つのか、というのはおいとくとして)。

2012年の現在から振り返るという本ですから、どのジャンルについても、控えめながらも茶化すトーンが端々に見受けられます (まあ、茶化す以外にどうするというのかという気もしますが)。ただ、著者自身が子供時代にオカルトブームの中でどんな体験をしたかというのも、理解のための補助線のような位置づけで、当時の気持ちを交えて書かれている。そこには不思議なものに興味を引かれる少年の一般的な気持ちや行動が見えるのが好ましく思えました。単に茶化すだけでなく、不思議なものへの純粋な好奇心、あるいは一種の愛情が感じられるわけです。

オカルトブームの変質や消えていく時期に味わった少年の失望感というのも感じられて面白い。だからこの本は、純粋な好奇心をひきつけた(いわば)商材が、いかに変質して支持を失ったかの例として読むこともできるでしょう。

当時を覚えている人は、本書を読んで「あーそういえばこんなのあったねー。あったあった、なつかしー。今じゃ考えられないね」と楽しめばいいし、80年代以降生まれの若い読者でも、かつてこんな時代があったんだ、今でも話に聞くアレはそういうものだったのか、と、謎が解けるのではないかと思います。

肩の凝らない読み物として大変面白く読めましたし、今まで言葉だけ聞いたことあってもよくは知らなかったこと (あえて知ろうとも思わなかったこと) もいろいろ分かって良かったです。本屋での衝動買いでしたが、私にとってはなかなかのヒット作でした。

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