2012年2月アーカイブ

かつて、XMLが今よりも重要なものだと思われていた頃、日本語で書かれた最初のXMLについての本が村田真『XML入門』(日本経済新聞社)だと紹介されることが時々ありました。しかし、これは事実誤認です。

『XML入門』の発行年月日は奥付によると1998年1月7日ですが、それに先立つ1997年11月22日発行の本として『はじめてのXML』(富士通XML推進チーム 編、日経BP社)があります。私の知る限りではこの本が日本語で最初のXMLの本です。

さて、上に事実誤認を正しておいたので、この2冊の本はもう処分してもいいかなと思っています。

昨年(2011年)の10月に、北海道の道東自動車道(道東道)、夕張〜占冠(しむかっぷ)間が開通しました。これにより、札幌圏と帯広圏が、初めて高速道路で結ばれました。食料基地である道東地域と、消費地の札幌圏、重要港湾を持つ苫小牧とが高速道路でようやく接続され、大変意義のある開通でした。

この付近をウェブの地図サイトで眺めていたところ、興味深いことに気付きました。結論からいうと、大多数の地図サイトが2012年2月時点でこの開通に対応している中、Googleマップだけが、開通前の地図を掲載し続けているのです。

試しに、Yahoo!ロコの地図を見てみましょう。

Yahoo地図の道東道

画像の中ほどを左右に走っているのが道東道です。切れ目なく続いているのが分かります。

同じ場所を今度はGoogleマップで見てみるとどうか。

Googleマップの道東道

なんと、高速道路の緑色の線が途中で途切れてしまっています。これは去年の10月まで未開通だった部分です。Yahooの地図は開通の情報が反映されていますが、Googleマップには反映されておらず、古い情報を掲載しているのです。

他の地図サイトではどうだろうかと、いくつか調べてみました。思い当たった地図サイトを以下に掲げますが、これらのサイトはいずれも、夕張〜占冠間の開通を反映した地図になっていました。

Googleにどういう事情があるのかは知りませんが、これだけ多くの地図サイトが反映している重要な変化をGoogleマップだけが反映していないというのは、Googleの姿勢に何か問題があると考えるのは無理のないことではないでしょうか。Googleは、利用者の個人データの収集ほどには熱心に最新の地図を提供していないといえるのではないでしょうか。

Googleマップが有名だからというので鵜呑みにしていると、古い情報を見せられていることに気付かないというリスクがあることになります。

上に掲げたYahooとGoogleの地図をよく見比べると、利用者に提示している情報量の適切さという点でも、Yahooに軍配が上がります。Yahooの方が市町村の名前と位置をより多く(なおかつ多すぎずに)表示しています。Googleマップの方は、驚くことに、道東の主要都市である帯広を、この縮尺でも表示しません。

GoogleマップはAjax技術で一世を風靡しましたが、地図サイトとしての有用性という面では、また別な評価が必要なようです。

今時のイナカ

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またその話かといわれそうですが、この前豊富温泉に行ったときのこと。あまりの人の少なさに、都会と田舎の違いについて考えさせられました。

豊富町の人口は、町のウェブサイトによると4372人。その中でも温泉地区は市街地から離れていて、有権者は100人くらいしかいないのだそうです(豊富温泉のブログ記事に曰く、「そもそも有権者が100人を切っている豊富温泉に10名以上も移住があるというのはすごいことです!」)。イナカだといって差し支えないでしょう。

世の中の通念としてはイナカよりも都会がいいということになるのでしょう。「オラこんな村いやだ」という歌もありました。

でも、本当にそうなんだろうか、と立ち止まって考えてみたいと思います。

豊富から関東に戻ってきて、東京・新宿の人混みを歩いたりしましたが、豊富よりも新宿の人混みの方が良いとは、本当なんだろうか。新宿には映画館も大型書店も家電量販店も、便利なものがいろいろあるのは確かです。でも、暴力団やエイズやいかがわしい商売や、悪いものもいっぱいあるんじゃないでしょうか。

昔と違って、今のイナカはインフラが整備されています。道路は舗装されているし、下水道は通っているし、インターネットも携帯電話も普通に使える。イナカに対する見方を変えるべき時期が来ているんじゃないか。ネットがあれば通販で何でも買える時代です。かつてから「イナカの方がいいんだ」という声はありましたが、イナカで生活・仕事することの現実性はかつてなく高まっているといえるでしょう。土地や人件費が安いというビジネス上のメリットもあります。

東京のような大都会には、企業が集積しているといった利点があるのは事実です。それはイナカにとってはそっくりディスアドバンテージとなります。ですが、そうしたことを情報通信技術によって乗り越えたり、そもそもそんなこと気にしない仕事だったりするならば、東京にこだわる必要はどんどんなくなっていくのではないでしょうか。都会といっても、東京でなくても、札幌(人口約190万)や福岡(約150万)レベルで十分かもしれません。札幌や福岡に近いイナカに生活や仕事の拠点を置くのは、結構現実的なことかもしれません。

この前行ってきた豊富温泉について、興味深い動画をYouTubeで見付けました。なぜこの温泉が注目を集めるのか、その一端が垣間見えます。

この前も書いたようにこの温泉は皮膚病に効くという評判です。しかし、ただ泉質がいいだけというわけではありません。湯治のためのコンシェルジュが相談に乗ったり、湯治客が快適に過ごせるようにカーシェアリングを提供したり、また湯治客同士の間でも情報交換をしたりと、助け合いの輪を広げるようにしているのです。

かつて湯治客だった人が豊富に移住してコンシェルジュになって、今度はアドバイスする側に回るという事例もこの映像では紹介されています。

映像を見ていると、ここは単なる温泉以上のものになってきているという気がします。共通の悩みを持つ人同士のつながりや交流が、新たな価値を生み出しているのではないかと想像します。

最近では東京と広島で、豊富温泉の湯治や移住のための説明会を開催したということです。皮膚病に悩む人が全国各地にいる以上、これからもっと豊富温泉は人をひきつけ、温泉に加えてそれ以上の価値を提供していくのではないかと思います。

知ってる人は前から知ってるのでしょうが、私はつい最近知って使い始めたのでここに紹介します。

Windowsの文字表示を綺麗にするプログラムとして、gdippというのがあります。これを実行しておくと、小さいサイズでドットが目立ってガタガタになるWindowsの文字表示が、MacやLinuxのようになめらかで綺麗になります。

私はWindows XPでこれを使っています。エクスプローラでもメモ帳でも、Windowsの文字表示機能を使っているものは文字が綺麗になります。XPにメイリオを入れて使うと、ウェブブラウザの本文のような小さなサイズでは、上下が揃わずにズレて見えるのですが、この点も改善されます。

ただ、アプリケーションによっては表示がかえって綺麗でなくなることがあります。そういうときは、設定ファイルで、特定のアプリケーションについて適用を除外することができます。私が試したところでは、Eclipseで日本字の表示がおかしくなったので、設定ファイルで除外しました。

ゴシック体ではやや太めに見えることがあるので好みが分かれるかもしれませんが、試してみて損はないと思います。

先月、北海道の豊富(とよとみ)温泉に行ってのんびりしてきました。

豊富温泉は、稚内の南にある豊富町の温泉です。日本最北の温泉郷だそうです。温泉自体でいうと、稚内市にも温泉があるので、ここが最北とはなりません。

豊富温泉の特徴は、なんと、石油が混じっている(という表現が正しいのかいまいち自信がありませんが)ということです。石油の試掘をしている最中に湧き出てきた温泉だそうで、実際、油のにおいが混じっています。ここの効能は、皮膚病に効くということがよく言われています。アトピー性皮膚炎などのために湯治に訪れる人も多いのだそうです。少し前にテレビでも紹介されていました。私も少し皮膚炎があるので、何か効果があるといいなという期待もありました。

今回、3箇所の風呂に入りました。

  • 宿泊したホテルの温泉
  • 日帰り入浴施設「ふれあいセンター」の湯治用の風呂
  • ふれあいセンターの一般向けの風呂

このうち、2つめの湯治用の風呂が、最も濃い温泉でした。湯治のために長く入浴できるようにとぬるくなっています。私はぬるい風呂が好きなので、大変快適でした。一般向けの方の風呂はもう少し温度が高いです。ホテルの温泉は湯治用の風呂に比べると、いうなればマイルドな感じですが、それでももちろん、豊富温泉の特徴はしっかり持っています。

お湯は皮膚病に効くというだけあって、やわらかい感じでした。湯治用の湯にゆっくり浸かったら、体ホカホカになってしばらくやむ気配がありませんでした。肌もしっとりした感じになりました。いかにも効能のありそうな温泉です。なんでも、皮膚科の先生にも患者に豊富温泉を勧める人がいるそうなので、皮膚病に悩む方は試してみてはどうでしょうか。

今回そもそもなぜ豊富温泉に行こうと思ったかというと、皮膚に良さそうだからというのもあるのですが、なにより、温泉と雪しかないところに行ってのんびり過ごしたいと思ったからです。夏季ならば、折角来たのだからあちこち見て回ろうとか思ってしまうのですが、雪の積もった季節は、そういう変な義務感から解放されて、何もせずに過ごすのに最適です。

泊まったホテルの広めの客室の窓の外には、雪化粧した林しか見えません。物音もせずに雪の降る中、雑事から離れて本を読んだり風呂に入ったりして1日過ごすのは、大変贅沢な時間でした。2泊3日だったので、真ん中の日は1日そんな風に過ごせたのです。

関東から豊富に行くには、羽田空港から稚内空港へ飛んでいくことになるのですが、往路、雪のために稚内空港に降りられず、旭川空港に着陸してバスで向かうことになってしまいました。それでだいぶ時間がかかりましたし乗り物に座りっぱなしでお尻が痛くもなりましたが、そういうトラブルも旅のうちだと思います。

ひとつ付け加えておくと、今回は「何もしない」ことも目的の一つだったので温泉以外どこにも行かなかったわけですが、夏に豊富温泉に行くなら、レンタカーを運転してサロベツ原野などに行くのもいいと思います。

辞書を引いていたところ、第4水準漢字があるのが目につきました。

嗉嚢(そのう)」という言葉です。鳥の消化器官にそういう部分があるのだそうです。この「嗉」という字はJIS第4水準、面区点番号2-4-20です。

この嗉嚢という言葉は、第3第4水準辞書を使うと「そのう」から変換できます。鳥のお好きな方もどうぞご活用ください。

PC上の国語辞典でこの言葉を引くと、「嗉」という字は外字扱いになっていました。JIS X 0213に対応していれば外字にしなくてすみます。ウェブの国語辞典を見たところ、HTMLの文字参照でこの字を表しているものがありました。

第3第4水準漢字は、いろいろなところにあるものです。

私は1年ちょっと前くらいから、自分で撮った写真をFlickrにアップロードしています。これは、写真を遠くの家族や知り合いに見せるのにはなかなか重宝します。たまには自分の写真にコメントがついたりしますし、またバックアップとしても働くと思います。

少し前に、ゲッティイメージズからFlickrの私のアカウント宛に連絡があって、何かと思ったら、私の写真を販売できるようにしたいということでした。Flickrとゲッティは連繋していて、Flickrにアップロードされた写真からゲッティの人が目ぼしいものを見付けて、作者に連絡してゲッティで商用に販売できるようにしているようです。向こうから、これとこれの写真を販売できるようにしたいといってきて、私がいいよと言うと、ゲッティのストックの中に入るわけです。販売を許可しても、Flickrでの公開には影響はありません。実際に写真が売れれば、もちろん、作者(つまり私)にいくばくかのお金が入ることになります。

自分の撮った写真に価値を見出してくれる人がいて、販売されるというのは、作者としてはなかなか気持ちのいいものです。まあ、ストックに入ったというのと、実際にどれくらい売れるかというのとはまた別問題なのですが。

ここに問題は、やりとりが全部英語だということです。Flickr自体が、日本語UIがいまだにないという問題はあるのですが、ゲッティも当たり前のように英語でコンタクトをとってきます。申請のフォームも契約書も英語。単なるウェブサイトのUIが英語なのはそれほど問題でないですが、法律や税金に関する文書の英語は理解するのになかなか骨が折れます。

よくしたものでFlickrにはゲッティ登録者向けの日本語のフォーラムがあって、そこに蓄積されたやりとりの助けを得てなんとか登録しました。

もし写真がうまくても、「英語なんて全然わからん」という人は、こういうチャンス (今回の件がどの程度良いチャンスかは別として、一般論として)を逃してしまうわけです。

だからひとつ言えることは、英語を勉強しておくといいことがあるかもよ、ということです。別に商社勤務とかでなくても、インターネットによって海外の人とコミュニケーションできる機会は身近なものになっています。

もっとも、じゃあ「英語万歳」となるかというと、私はそうはあまり思わない。エスペラントみたいな中立な言語ならともかく、英語という、イギリスやアメリカの言語を知っているとトクをするよ、というのは、あまり公平な世界とは思えないんですね。まあ、現にそうなっちゃってますけど。

だからもうひとつ言いたいことは、英語以外、特に私にとっては日本語の世界も、もっと勢力を広げてほしい。英語話者ばかりがトクをする世界に一石を投じてほしい、ということです。今回の例でいえば、ゲッティは日本法人もあるのになんで日本語話者に日本語でコンタクトしてこないのか、ということもいえるし、また、日本からFlickrやゲッティのようなことをする会社が出てくればいいんじゃないか、ということもいえると思います。才能はあっても英語ができない人は活躍できません、というのは良くない。

今の世界に適応するために英語を活用するのと、その一方で日本語の世界を広げていくのと、両方をやっていく必要があるのだと思います。

がんばろう日本、がんばろう日本語。

ウソに戸惑う

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JIS X 0213の追補1:2004で、所謂「表外漢字UCS互換」10文字が追加されました。この中に、「噓」(cf. 「嘘」)という字も含まれています。第3水準に含まれ、面区点番号は1-84-7です。

自分で文字を入力しようとすると、ウソという言葉を漢字で入力するのに、第1水準の「嘘」にすべきなのか、それとも第3水準の「噓」にすべきなのか、戸惑います。第3第4水準辞書を使うと、どちらのウソも入力可能です。

表外漢字UCS互換とは何であるかについては、拙著『プログラマのための文字コード技術入門』の第3章をご覧ください。

表外漢字字体表の趣旨としては、「噓」を使うべきということになるのでしょう。しかし、読み手の機器やフォントなどにおいて、第3水準の「噓」が正しく扱えないケースがたくさんあることが予想されます。ならば、表外漢字字体表を作った人には悪いけど、無難に第1水準の「嘘」にしておこうか、という考えがわいてきます。

そもそも何で「噓」の方がいいというのか、私にはよく分かりません。「所謂康煕字典体」だということなのでしょうが、実は、康煕字典そのものに載っているのは「所謂康煕字典体」の「噓」ではなく「嘘」の方なんだそうです。ここで「所謂」は無意味な飾りではありません。

こういう、活字のデザインに属するところは、文字コードとしては区別せずに、フォントの問題とするのが使いやすい文字コードであると私は思います(実際、Unicodeが両者を区別していなければそうなる筈でした)。これを文字入力(符号化)の段階で区別する意味があるとは思えません。「文字コード」は「活字デザインコード」ではない。

第3水準がいつでもどこでも使えるようになるまでは「噓」を使うのに上記のような懸念があるわけだし、どこでも使えるようになったらなったで、固有名詞などについて「正式な表記は『噓』だ、『嘘』ではない」みたいな鬱陶しい言説がまかりとおるようになるのもあまり良い未来とは思えません。すっきりしない状況はまだまだ続きそうです。

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