ホッケという魚と漢字

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ホッケという魚は北海道のうまい魚というようにみなされることがありますが、元来は高い評価を得る魚ではなかったようです。

Wikipedia のホッケの項を見るとかつては不味い魚とされていたように書かれています。まあWikipediaのことなのでどれだけ本当かは分かりませんが。一方、北海道大学に勤めて世界初の人工雪を作った中谷宇吉郎博士の随筆には、この魚を「愚魚」と表現しているものがあり(「貝殻の歌」、昭和36年、『中谷宇吉郎随筆集』収載)、やはり上等なものとは考えられていない節があります。しかし、鮮度のいいものはうまいというようなことも書かれています。

今でも実際庶民的な魚ではありますが、うまいものは大変にうまいことがあるというのは、以前このブログに「函館で食べたホッケ」として記しました。

この魚はだいたい片仮名でホッケと書くことが多いのですが、漢字もあります。魚へんに花、「𩸽」と書かれます。これは魚へん漢字に詳しい人の間では割合よく知られたもののようで、以前テレビのクイズ番組に出題されていて回答者が正答していたということを、このブログ「テレビで見た第4水準漢字」に記しました。また、最近文庫で出版された本、『魚偏(うおへん)漢字の話』にも説明があります。この字は中国にはなく、ホッケの表面に美しい斑紋があることから魚偏に花となったとしています。

この字はどうも割とあちこちで見掛けるようだということは、このブログの過去の記事、「北海道で見た第4水準漢字」や「札幌・二条市場で見た文字」に記したとおりです。

この𩸽という字、文字コードとしてはJIS第4水準にあり、面区点番号2-93-44です。Unicodeでは、BMPでなく面02にあり、符号位置U+29E3Dです。

この、JISでは第4水準にあり、Unicodeでは面02にあるというのは、私が文字コードの実装をテストするうえでは大変重宝しています。JIS第4水準というのは、EUCの符号化ではSS3という制御文字の対応が必要であり、SJISでは区点番号からの計算式が第3水準までとは別の式を使わないといけないという特徴があります。きちんと第3・第4水準に対応しているかどうかのテストに使えます。また同時に、UnicodeではBMP外だということは、UTF-16ではサロゲート・ペア、UTF-8では4バイトのUTF-8に対応している必要があるので、これもやはりテストに丁度良い。

私がこの前このブログで「Kindleはホッケを食べられるか」という記事を書いたのも、そのあらわれのひとつです。

また、漢字自体が、「ああ、魚のホッケのことだな」と、意味が理解されやすいというのも、馴染みやすいということでは利点のひとつに数えられます。

こうしたことから、拙著『プログラマのための文字コード技術入門』では、第4章とAppendixの文字符号化の例として、この𩸽という字を便利に活用させていただきました。ホッケさまさまです。

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