川崎のアイヌ工芸展を見て文字コードについて考えた

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先週まで川崎市民ミュージアムで開催されていた、「アイヌ 美を求める心」という、アイヌの工芸品の展示を見てきました。

アイヌの衣類や生活用品、工芸品等の、美術的な側面をとりあげた展示です。

いかにもアイヌらしい模様の衣類をはじめ、生活に密着した品物や、儀式のときに使う物、本州からもたらされたものを利用した物、など、様々な展示物がありました。

展示品には片仮名書きのアイヌ語で名称が記されています。したがって、この展示はJIS X 0213の必要性が強く認識できる展示でもありました。

この企画展のチラシから一部抜粋した画像を掲げましょう。これだけでも一端が伺えるというものです。

アイヌ工芸展のチラシの一部

この小さな画像だけでも、異なり字数で10字、総計12文字も、JIS X 0208になくJIS X 0213で追加された文字があります (丸付き数字も数えています)。なお、④のところに小書きの「ㇵ」があるのが目を引きます。これはアイヌ語の中でも樺太方言の表記にしか使われない字です。この展示には樺太アイヌの物も多く出ていたので、あまり見かけないこうした字も出てくるわけです。

この展示で印象的だったことの一つに、現代のアイヌ工芸の作品があります。21世紀になった今でも、アイヌ工芸は受け継がれて、新たな作品が産み出されているのです。その中にはアイヌの伝統的なものもあれば、新たな発想で作られた必ずしも伝統的には見えないものもあるといいます。また、北海道ではアイヌ語のラジオ講座が放送されるなど、アイヌ文化を継承する動きがあることが紹介されていました。アイヌ語は母語話者が消滅の危機に瀕している一方で、それを受け継ぐ努力もなされているのです。

そうしたことから、『プログラマのための文字コード技術入門』の著者として考えることは、アイヌ語は日本において現代そして未来に生きる言語であり、それを表記するための文字は現代・未来の日本に欠かせないものだということです。JIS X 0213がアイヌ語表記用の片仮名を収録したことは100%正しい判断であり、画期的な功績である。そしてインプリメンタはその判断を正しく理解し、アイヌ語用の文字を扱える文字コードを実装しなければならない。アイヌ語に敵対的な間違った実装であるWindows-31J (CP932)を排し、UTF-8、Shift_JIS-2004、EUC-JIS-2004といったAinu-friendlyな文字コードを使うことは我々の義務である。ただしUnicodeの場合には結合文字の処理がちゃんとできなきゃ駄目(なぜなら、「ㇷ゚」の問題があるから)。そういうことなのです。

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