台湾語とコンピュータにかける情熱

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田村志津枝『初めて台湾語をパソコンに喋らせた男』(現代書館)を読みました。

今日、台湾で国語とされている言語は中国語(北京語)です。それを反映して、台湾旅行のガイドブックには中国語の挨拶や旅のフレーズなどが載っているわけです。

が、地元の人々が日常話す言語としては、台湾語というものがあり、これは北京語ではなく福建省の方の閩南語がベースになっています。何百年も前に福建の方から渡ってきた人々の子孫にとってはこの台湾語が母語であり、中国語はいわば外国語のように覚えるものであるようです。

その台湾語は、文字で書くための決まりがなく、不便をしている。中国語に押されて公用語の地位も得られない台湾語。そんな台湾語を守り伝えるために、台湾人アロンは得意のコンピュータを使って台湾語を学び活用するためのソフトウェアの開発に着手します。

本書は、アロンと台湾語のかかわり、コンピュータに夢中になり、困難なアメリカ留学をはたしてまでのめりこんでいく様などを、台湾事情を織り交ぜながら活き活きと描いています。

台湾事情とさらっと書いてしまいましたが、日本統治時代が終わったと思ったら中華民国に併合されて二・二八事件が起こったりと、外来の支配者の都合に翻弄される台湾の事情とは、そこに生きる人々にとって決して容易なものではありません。元々住んでいた所謂本省人と戦後に中国から渡ってきた外省人との関係など、日本からは想像しづらい機微の一端が本書には伺えます。

言葉に対する思いとコンピュータにかける情熱が好ましく伝わってくる、興味深い読み物でした。

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