キーボードから日本語を入力する方法として、ローマ字入力は最も多く使われている方式でしょう。ほとんどの人が使っていると言っても過言ではないと思います。
このローマ字入力、良いところは何かといえば、まず第一に覚えることが少なくて済むということでしょう。覚えることが少ないというのには2つの意味があります。ひとつは、アルファベットの配列さえ覚えてしまえば、英語などを入力するのにも日本語を入力するのにも使えるということ。アルファベットと別に仮名のキー配列を覚える必要がないということですね。もうひとつは、覚えるべきキーが少ないということ。キーボードの最上段を使う必要がないのは勿論、qとかvとかの位置は知らなくてもいい。
しかし、覚えることが少ないということ以外のメリットは思い付きません(ほとんどのソフトウェアでサポートされているというのもありますが、それはどちらかといえば結果論)。覚えることが少ないというのは、逆にいえば入力時の冗長性が高いということでもあり、非効率性につながることでもあります。
ローマ字入力は最初に覚える配列としては確かに適当なものでしょう。しかし、いつまでもローマ字入力でいいのでしょうか? ITリテラシーが上がったなら、やさしくて非効率的なローマ字入力を卒業して、より効率的な入力方式にステップアップしても良いのではないでしょうか。
ローマ字入力以外の選択肢をここではいくつか挙げてみましょう。
- JIS仮名配列
いわゆる「仮名入力」としてポピュラーな方式。日本で販売されているPCに付属のキーボードに刻印されている仮名配列がこれです。多くの日本語入力ソフトウェアでサポートされており、とりあえず取りかかりやすいといえるでしょう。
ローマ字入力に対するメリットは、1打鍵で入力できる文字が多いということが挙げられます。打鍵数が少なくなるので、速く、少ない負担で入力できます。一方で、キーボードの最上段を使うことから、あまり打ちやすい配列とはいえません。
- 親指シフト
かつて富士通のワープロで採用されて人気の出た入力方式。その名のとおり、親指で押すシフトキーを持つ独特のキーボードで打つことを前提とした方式です。根強い人気を保っており、プロの作家にも愛用者がいます。
メリットは、1つの入力アクションに1つの仮名が対応することから、速く快適な入力が可能であることです(だそうです)。一方、特別なキーボードを必要とすることが採用のための難点となります。もっとも、親指シフトキーボードは現在でも発売されてはいますし、また、通常の日本語キーボードの変換キーなどを親指シフトに見立てるエミュレーションソフトが開発されてもいます。つまり、エミュレータさえ導入すれば親指シフトを実現することは可能ということです。とはいえ、変換キーのないANSI配列キーボードではやはり無理があり、キーボードを選ぶという点は大なり小なりついて回ります。
- 月配列
JIS仮名配列は文字通りJISの規格、親指シフトはベンダが開発した方式ですが、この月配列は、なんと2ちゃんねるで匿名の有志たちが開発した草の根発祥の仮名配列です。
月配列には、新JIS配列と花配列という2つのルーツがあります。新JIS配列を元に、花配列で発明された中指シフトを組み合わせたものが月配列です。
メリットは、親指シフトと異なり特別なキーボードを全く必要としないこと、JIS仮名配列と異なり最上段を使わず打ちやすいこと、それでいて入力打鍵数はローマ字入力より25%ほど少なくて済む、ということです。
こういう優れた性質を持つ配列ですが、何ぶん、草の根の活動にすぎないことから(それも匿名!)、有力ソフトウェアによるサポートが全くといっていいほど無いのが難点です。月配列を紹介したホームページを見ると、Windowsで月配列を実現するソフトウェアを見付けることができます。また、私はEmacs上のSKKで月配列を実現する設定ファイルを公開しています。
私はこの月配列を使っています。
- 花配列
これも、2ちゃんねるではありませんが、規格やPCベンダとは無関係に提唱された仮名配列です。月配列で採用された中指シフトという卓抜なアイディアの元祖です。
メリット・デメリットは月配列とほぼ同様と考えて良いでしょう。ただ、花配列はキーボード最下段の使用が多いそうです。この点を嫌うなら月配列、むしろ好きなら花配列を選ぶということになるのかもしれません。
ウェブページ「花のくに」に花配列の説明があります。
さあどうでしょう、ローマ字入力を卒業したくなってきましたか? 新たなキー配列を覚えるには手間と根気が必要です。しかしその先には、もっと良い世界があなたを待っている筈です。
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