最近こんなニュースがありました。
いわゆる共有自転車の管理に、NTTドコモの通信や決済の技術を使うようです。共有自転車は細々と実験されては失敗してきたものですが、パリの「ヴェリブ」が最近成功例として注目されています。
上の記事では「ドコモでは「当社も低炭素社会の実現を目指しており、環境ビジネスへ挑戦している中で、サイクルシェアリングは環境に配慮する公共交通の手段として注目されている。(後略)」としている」といっています。
ここで疑問が生じました。共有自転車は低炭素社会を作るのに役立つのでしょうか?
自転車は環境にやさしいといわれます。人の脚力以外の動力を必要としないのだから当然です。が、自転車は別段CO2を吸収してくれるわけではありません。自動車のような環境負荷のより高い乗り物を使うはずだったところを、自転車で済ませるから、結果的にCO2が減るわけです。つまり、自動車を代替して初めてCO2が減ったといえるわけです。
しかるに、今回の共有自転車の実験は、自動車を代替するという用途にはあまり向かないように思えます。自転車を乗り降りする拠点は札幌の市街地に用意するということですから、おそらく大通の近辺なのでしょう。別の記事によると「札幌市の大通地区周辺に10〜15カ所の専用ポートを設置し、100台の自転車を有料で貸し出す」ということです。それならば、自転車に乗る人は自宅から大通まではどうやって来るのでしょうか? 自動車で? それなら意味ないですね。
おそらく、主要なターゲットは他の街から札幌を訪れた人(観光客等)なのではないかと思います。札幌に住んでいるのなら、わざわざ大通で借りるまでもなく、自宅から自転車に乗って出かければいい話だからです。
ならば、他の街から札幌に来る人はそれまで札幌都心で自動車を使っていたのかというと、そうではないでしょう。東京から札幌に出張に来てレンタカーを借りるといったことは、市外に出たりするのでなければ、普通ないはずです。例えば、すすきののホテルに泊まった人が北大に行くとする。レンタカーを借りて? いえいえ、そんなことはしないでしょう。地下鉄で行くのです。もちろんこのときに共有自転車を使ってもいいわけですが、その場合、自動車の代替ではなく、地下鉄という割合エコな乗り物の代替でしかないことになりますから、エコという観点ではあまり得がない。
どうも、共有自転車は自動車の代替としてはあまりはたらかないのではないかと思えます。都心部の近距離タクシー移動の代替がせいぜいであって、郊外から都心に流入する自動車を減らすような、より切実な問題への効果はほとんど無いでしょう。
共有自転車が都市の自転車活用という観点からあまり効果が無さそうだというのは私のオリジナルな意見ではなく、あの疋田智氏が著書『自転車の安全鉄則』(朝日新書)で言っていることでもあります。なんでも、パリのヴェリブにしても、自動車走行の削減を特に狙いとしたものではないそうです。
環境のために自転車を使うならば、自宅から出るときに自家用車でなく自転車に乗っていく、ということが肝心であるように思えます。共有自転車は、来訪者用の手軽な交通手段ではあっても、環境対策や渋滞対策になる可能性は低いと考えられます。